対日異形棒鋼AD、米ITCが「クロ」最終決定 税率206~209%が確定

 米国国際貿易委員会(ITC)は16日、日本とトルコから輸入される鉄筋用棒鋼(異形棒鋼)に対し実施していたアンチダンピング(反不当廉売=AD)調査の結果、委員投票5対0で被害があるとし「クロ」を最終決定した。

 同ADはオバマ政権時代の2016年9月にニューコア、スチール・ダイナミクス(SDI)、ゲルダウ・アメリスチール、バイヤー・スチール、コマーシャル・メタルズ・カンパニーの5社連合によって提訴されたもの。ITCは昨年11月時点で「クロ」を仮決定していた。

 AD税率を定める商務省は5月に最終決定を下し、城南製鋼所と共英製鋼に209・46%、その他の日本企業には一律206・43%を課すとしている。日本側はITCや商務省の調査に対応しておらず、米側の主張がほぼそのまま確定した格好だ。

 日本からの米向け棒鋼輸出は暦年ベースで15年は約24万トン、16年は約27万トンだったが、AD調査の影響で17年に入ってからはほぼ皆無へと減っている。ITCの「クロ」決定で200%を超える高率AD税の賦課が確定し、少なくとも適用期間の5年間は米への異形棒鋼輸出が極めて難しくなった。

 日本の異形棒鋼輸出をめぐっては、カナダでも5月にAD調査で「クロ」が最終決定され108・5%の高率AD税が課されている。北米市場は世界の中で鋼材価格が比較的高く、これを狙った建材の棒鋼輸出が槍玉にあげられている。

 米ITCはトルコにはADだけでなく不当な補助金に対抗する相殺関税(CVD)調査でも「クロ」を最終決定している。AD税率は5・39~8・17%、CVD税率は5・18~8%で、年間100万トン規模で米へ異形棒鋼を輸出してきたトルコ勢にも少なからぬ影響が生じそうだ。

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