5月の鉄鋼輸出、4カ月連続前年割れ 設備改修、内需好調で

 財務省が19日に発表した5月の貿易統計(速報)によると、全鉄鋼ベースの輸出は前年同月比12・6%減の316万9千トンとなり、4カ月連続の前年割れだった。

 自動車向けを初めとした内需が好調な中、新日鉄住金やJFEスチールなど高炉大手は設備改修などで生産余力が限られ、輸出成約を抑制し続けている。特に5月は新日鉄住金・大分製鉄所で熱延ミルの定期改修が行われたことも影響。減少率は2012年2月の13・3%減以来となる落ち込みとなった。

 ただ数量は落ち込んだものの、価格面では健闘しており金額換算では20%増の2760億円と高い伸びが続いている。

 5月の地域別全鉄鋼輸出は、ASEAN向けが16・4%減の101万8千トンとなり2カ月連続で減少。韓国向けは23・5%減の48万1千トン。このほか中国向けは4・5%増の48万3千トン、米国向けは6・8%増の15万1千トン、中東向けが47・2%減の5万8千トンだった。

 全鉄鋼輸入は10・9%増の67万6千トンとなり、3カ月連続で増加した。うち韓国からが22・7%増の35万7千トンへと増えたほか、中国からも9・4%増の11万3千トンで9カ月ぶりに増加へ転じた。

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