音楽教育を守る会がJASRACを提訴 音楽教室での著作件の使用料徴収巡り

 ヤマハ音楽振興会、河合楽器などが結成した「音楽教育を守る会」(目黒区)は20日、団体249社で原告団を結成し、JASRAC(日本音楽著作権協会)を相手に、東京地方裁判所に「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を提起した。

 JASRACは2003年、ピアノやギターなどを教える音楽教室から楽器演奏に伴う著作権の使用料を徴収したい意向を示していたが、その後の話し合いは平行線となっていた。JASRACはことし2月に、著作権料を徴収する方針を固めたことを、各音楽教室事業者へ書面での通知を始めた。

 ヤマハなどは、この問題に対し合同で取り組むため「音楽教育を守る会」を立ち上げた。(現在約340社が加盟)。3月にはJASRACに対し、「音楽教室における著作物の利用は、著作権法第22条に規定する演奏権はおよばず、JASRACには徴収権限がないため文化庁への届け出はしないでいただきたい」と回答した。しかし、JASRACはこれに応じず、6月7日に新たに設けた「音楽教室における演奏等」の使用料規定について文化庁に届け出をし、来年1月から徴収すると公表していた。

 音楽教室を守る会は、著作権法に定める演奏権(法第22条)について、(1)「公衆」に対する演奏ではないこと(2)「聞かせることを目的とした」演奏ではないこと(3)著作権法の立法目的(法第1条)にもそぐわないこととし、音楽教室における著作物の使用料徴収に関し、音楽教室でのレッスンには著作権法に定める演奏権は及ばず、JASRACに徴収権限は無いことを確認するため訴訟を提起。司法の判断を仰ぎたいとしている。

 守る会は「今回の訴訟提起は単なる法解釈の問題ではなく、民間の音楽教育が日本の音楽文化の振興に果たしてきた役割を改めて問う契機になるものと考えています。日本の音楽教育ならびに将来の音楽文化の発展を阻害する問題に団結して立ち向かってまいります」と話している。

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