街宣車の免許取り消し「不当」 処分差し止め求め横浜地裁に提訴

 街宣活動で集団走行していた車の信号無視に道交法の共同危険行為を適用し免許取り消し処分を行うのは不当として、いずれも県内在住の右翼団体の男性メンバー4人が21日までに、県に同処分の差し止めを求める訴訟を横浜地裁(大久保正道裁判長)に起こした。同日第1回口頭弁論が開かれ、県側は訴えは不適法として却下を求めた。

 主に暴走族対策で使われることの多い共同危険行為を、街宣車の活動に適用して免許取り消し処分になれば全国で初めて。原告の代理人弁護士は取材に対し、「捜査当局のやり方は強引。正当な街頭活動や政治活動を萎縮させかねない」と述べた。

 訴えによると、右翼団体は2015年10月、道路使用許可を得た上で街宣車20台による街宣活動を東京都内で実施。約4キロの道中、一部の車が隊列の分断を避けるため赤信号を無視して前方車両を追い掛けるケースがあった。

 警視庁は16年5月、信号無視を繰り返したとして参加メンバー20人を道交法違反(共同危険行為)の容疑で書類送検。後に全員が起訴猶予処分となったが、免許取り消し処分が検討されている。

 原告側は、隊列を分断すると他の交通に迷惑を掛けると指摘し、「集団で赤信号を無視する危険走行を行った認識はない」と主張した。一方、県側は答弁書で「集団が一丸、一体となって共同して著しく交通の危険を生じさせた」とした上で、訴えは差し止め請求の要件を満たさず不適当とした。

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