ダルビッシュ指導の名投手コーチ、大谷翔平の二刀流に寛容姿勢「私も見たい」

将来的なメジャー移籍を希望している日本ハム大谷翔平投手の去就には、アメリカからも熱視線が注がれている。メジャーでも二刀流は続けられるのか。現ナショナルズのマイク・マダックス投手コーチは「投手も打席に立つのが、本来の野球。選ぶべき時が来るまでは続けてもいいのでは」と、二刀流実現に寛容な姿勢を見せた。

ナショナルズのマイク・マダックス投手コーチ【写真:Getty Images】

大谷はMLBでも二刀流継続できる? ナ軍マダックス投手「続けてもいい」

 将来的なメジャー移籍を希望している日本ハム大谷翔平投手の去就には、アメリカからも熱視線が注がれている。いつメジャーにやってくるのか。どのチームと契約するのか。どれだけの大金が動くのか。そんなトピックスと同時に話題の中心となるのは、もちろん「メジャーでも二刀流は続けられるのか」。現ナショナルズのマイク・マダックス投手コーチは「投手も打席に立つのが、本来の野球。選ぶべき時が来るまでは続けてもいいのでは」と、二刀流実現に寛容な姿勢を見せた。

 メジャーでも指折りの名投手コーチと評価の高いマダックス投手コーチは、2015年まではレンジャーズでダルビッシュ有投手の躍進を近くで見守った。現在はストラスバーグ、シャーザーら一流投手の活躍をサポート。投手コーチという立場上、怪我のリスクが増えるであろう二刀流起用には難色を示すかと思いきや、「メジャー選手の中には、大学まで投手と野手を兼任していた選手も多い。最終的にどちらかに選ばざるを得なくなっただけ。私も二刀流を見てみたい」と話した。

 二刀流をサポートした経験も持つ。2003年にブルワーズで投手コーチを務めた時、メジャーでは21世紀唯一の二刀流、ブルックス・キーシュニックがいた。救援投手としてマウンドに上がりながら、代打や指名打者として野手としても出場。ブルワーズに在籍した2シーズンは、投手として通算74試合に投げて2勝2敗7ホールド、防御率4.59の成績で、野手としては通算144打席に立ち、打率.286、8本塁打、19打点を記録した。

「キーシュニックだって二刀流をしたし、ベーブ・ルースだってやっていた。環境が許す限り、続けてもいいと思うよ」

ナ・リーグでは投手も打者として貢献「それが本来の野球」

 マダックス投手コーチは「ナ・リーグでは、投手も打席に立ち、打者として貢献することも求められている。それが本来の野球」と指摘する。実際、ナショナルズは19日のマーリンズ戦で、先発投手ロスを代打起用、ロスは二塁打を放った。さらに、ロスは翌20日にも代走出場し、アウトになったものの二塁へスライディングする姿も見せた。控え野手が不足しているというチーム事情もあるが、投手の野手起用について、投手コーチとして何ら疑問を抱くことはないという。

 実際に大谷がプレーする姿を見たことも、寛容な発言に繋がっているかもしれない。2014年11月に行われた日米野球には、MLBオールスターチームの投手コーチとして来日。「素晴らしい才能を持つ選手。メジャーでプレーする姿を見てみたい」と絶賛する。「二刀流を辞めなければいけない時、どちらか選ぶべき時が来るまでは続けてもいいのでは」と、メジャー移籍が実現した後も二刀流が継続されることを願った。

 夢物語かと思われたメジャーでの二刀流実現だが、現役投手コーチが寛容姿勢を見せるなど、実現に向けてのハードルは徐々に下がっているのかもしれない。

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

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