阪神メッセは球史に残る存在に MLB経験助っ人で史上2人目の記録も現実味

阪神のランディ・メッセンジャーは交流戦で3試合に登板して1勝1敗、防御率3.86だった。抜群の成績ではなかったが、ローテを維持し、チームの勝利に貢献した。

MLBでも173試合に登板したメッセンジャー(写真はフロリダ・マーリンズ時代)【写真:Getty Images】

通算100勝も見えてきた阪神・メッセンジャー

 阪神のランディ・メッセンジャーは交流戦で3試合に登板して1勝1敗、防御率3.86だった。抜群の成績ではなかったが、ローテを維持し、チームの勝利に貢献した。

 8年目の今季もローテーションの一角を担い勝利数は現在、セ・リーグ最多タイの7勝、防御率2.59と安定した成績を残している。松坂世代の1歳下の1981年生まれだが、衰えは全く感じられない。

 メッセンジャーはMLBでは5年で173試合に登板し、4勝12敗、防御率4.87。先発登板はなく、中継ぎ投手だったが、NPBにやってきてからは抜群の安定感を誇っている。

 多くの外国人投手が100球を目安に降板する中で、メッセンジャーは必要とあらば110球、120球と投げることもいとわない。2016年はリーグ最多の3218球、2015年も2位の3255球と抜群のスタミナを誇っている。

 2015年は9勝どまりだったが、2010年に来日以来、昨年までの7年で5シーズン、2桁勝利を挙げている。阪神のエースと言ってよいだろう。

2010年の通算勝利数で2位タイに位置するメッセ

 メッセンジャーが来日した2010年以降のセ・パ両リーグ通算勝利10傑が以下だ。

金子千尋(オリオックス)82勝47敗
前田健太(現ドジャース)80勝51敗
メッセンジャー(阪神)80勝67敗
内海哲也(巨人)76勝46敗
攝津正(ソフトバンク)72勝41敗
岸孝之(楽天)72勝51敗
石川雅規(ヤクルト)72勝71敗
能見篤史(阪神)71勝67敗
スタンリッジ(ロッテ)65勝62敗
田中将大(現ヤンキース)64勝15敗
涌井秀章(ロッテ)64勝65敗

 メッセンジャーは金子の82勝に次ぐ数字で、前田と並ぶ80勝を挙げている。NPBを代表する先発投手と言ってもよいだろう。

 NPBでは中6日のローテーションが定着し、2桁勝利が難しくなっている。メッセンジャーは、故障せず、ローテを外れることもなく、黙々と勝ち星を積み上げてきたのだ。メッセンジャーはすでに外国人投手では、NPB史上に残る存在になっている。

外国人投手の勝利数10傑でも歴代5位

 外国人投手のNPBでの勝利数10傑は以下の通り(※は現在NPB球団在籍)。

郭泰源 117勝68敗
郭源治 106勝106敗
スタンカ 100勝72敗
バッキー 100勝80敗
メッセンジャー 80勝67敗※
ミンチー 74勝70敗
スタンリッジ 72勝62敗※
荘勝雄 70勝83敗
J.パウエル 69勝65敗
グライシンガー 64勝42敗

 メッセンジャーは外国人投手では5位の勝ち星。MLBでの登板経験がある投手としては、ジョー・スタンカに続いて2人目の100勝も現実的な数字になっている。

 アメリカから日本に来る助っ人は打者の方が多い。投手は30歳を過ぎたベテランが多く、活躍期間が短いことが多かったが、メッセンジャーは29歳の年に来日し、NPB向けの投球術を会得して長く活躍しているのだ。私生活でもラーメンが好物。ファンとも気さくに交流するなど、日本文化にも適応している。

 外国人選手の“選球眼”には定評がある阪神だが、メッセンジャーも代表的な「成功例」と言えるのではないか。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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