日本製鋼材のインドネシア輸出、通関でトラブル多発 日本政府、運用改善を要請

第三国経由でEPA非適用も

 日本製鋼材のインドネシアへの輸出で、本来なら適用されるべき経済連携協定(EPA)上の免税制度が受けられないケースが頻発している。鋼材を積んだ船舶が第三国を経由してインドネシアに入る際、通し船荷証券などに経由地の記載がないと、インドネシアの税関当局がEPAの適用を拒否。通常の関税を支払わないと通関できないケースが多いという。日本政府はインドネシア政府に改善を求める一方、トラブル回避のために船荷証券などに経由予定地を記載するよう、現地の商工会議所を通じて呼び掛けている。

 輸送経路をすべてカバーする通し船荷証券やEPAの対象であることを証明する特定原産地証明書がきちんと発行されていれば経由地の記載は不要というのが国際的な慣習。日本―インドネシア間のEPAでは、直接輸送を原則とするが、荷物の積み替えを目的とする第三国経由は認められている。

 両国間のEPAでは、自動車、電気・電子、エネルギー、建設機械、再輸出の5分野を対象とした鋼材の用途別免税制度が導入されており、熱延コイルの場合、通常は12・5~15%かかる関税が実質免除される。免税制度の適用が受けられないケースが多発していることは、現地の鋼材ユーザーの競争力にも影響を及ぼしかねないだけに、早期の運用改善が求められている。

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