福井県鋼材販売事業協同組合(特約店9社)は先月開催した定期総会において役員改選を行い、新理事長に山本直孝氏(カラヤ専務)を選任した。ここでは、6年ぶり2回目の理事長就任となった山本理事長に県内特約店の現状や課題を聞いた。(藤田 英介)
――まずは就任の抱負から。
「組合員は当初の13社から、倒産や退会した会社もあり9社となった。これ以上の減少は食い止めたい。我々を取り巻く環境も大きく変わってきたが、会社の大きさや強さに甘んじることなく、環境の変化に対応し変革できる企業が〝適者生存〟できるのではないか。各社が企業努力を重ねるとともに過当な価格競争を避け、お互いに切磋琢磨することで業界の発展につなげてほしい」
――北陸3県では福井県のみ協同組合としている。
「今回が第38期となったが、組合発足当時計画されていた福井県庁向けの鉄筋を共同受注する際、仲良し団体では難しいということで協同組合化した。その後数々の実績を上げてきたが、近年では何かと難しくなってきている」
――特約店各社の特色は。
「H形鋼や丸棒をはじめ鋼材全般を扱うところから土木製品中心のところ、切板専業や機械工具など各社それぞれ強みを持つ。当組合としては条鋼、丸棒、土木、嶺南の4つの部会を設置し情報交換などを行っている」
――最重要課題は。
「北陸新幹線工事向け資材の受注だ。今年から高架橋工事が忙しくなる見込みだが、鉄筋などの関連需要が出てくるのはあと2~3年しかない」
「そこで当組合として初めて副理事長のポストを設け、山崎金属の山崎正弘社長が就任。今後は代表理事2人体制でしっかり対応していく。現状では資材発注の段階で実績のある他県の業者が受注するケースもあり、地元起用に向け関係先への陳情活動を継続する」
――その他の課題は。
「近年では同業者がコンクリート製品など他の業界へ移り、鋼材流通市場への攻勢を強めている。メーカーや商社に協力を仰ぎつつ、組合員には設計折り込み営業を積極展開してもらうなどして商圏を守っていくつもりだ」
――今期の需要見通しは。
「県内案件が少なく厳しいだろう。福井駅前再開発や中部縦貫自動車道延伸など計画はあるものの、大型案件だった18年開催の福井国体関連がなくなったほか、嶺南地区は大半の原発が停止したままで景気が停滞している。それだけに新幹線の仕事を確実に受注していくことが重要だ」
――働き方改革について。
「新幹線工事の本格化を迎える中で残業時間削減などに取り組まなくてはならない。我々はお客様あっての商売なので従来の作業を見直し工夫していくしかない」
――組合における新たな取り組みは。
「会員相互の親睦を一層深めるため、当組合主催の懇親ゴルフ大会を7月22日にあわら市の越前カントリーで開催する予定」
略歴
山本 直孝氏(やまもと・なおたか)1968年法政大学卒業後、線材製品の商社に勤務。73年カラヤ入社、97年同専務。四人兄弟の二男で、社長の仁左衛門氏が長男、取締役の友直氏が三男。休暇は奥様と二人で海外旅行やゴルフ(H20)を楽しむ。47(昭和22)年12月生まれの69歳。越前市(旧武生市)出身。