慶應図書館旧館工事、新日鉄住金エンジの新型免震装置を採用

 新日鉄住金エンジニアリング(社長・藤原真一氏)が展開する最先端の免震装置、球面すべり支承「NS―SSB」54台が慶應義塾大学三田キャンパス(東京都港区)の図書館旧館改修事業に採用される。耐震補強と内外装の老朽化に対応する工事で、歴史的建造物の維持・保存に先端技術が貢献する。

 本製品は厚鋼板を球面加工した上部・下部コンケイブプレートにステンレス製のすべり板を一体化させ、その間にスライダーを配置。地震時にはスライダーが上部・下部のコンケイブプレート間で振り子のように移動し、地震エネルギーを吸収しつつ建物を元の位置に回復する。建物重量の変化に免震性能が影響しないことが最大の特長だ。

 旧図書館は明治45年に完成。当初はレンガ積みの組積造だったが、関東大震災によって大きな被害を受け、一部が鉄骨鉄筋コンクリート造に造り替えられるとともに第2書庫、第3書庫が増築されるなど複雑な構造体となっている。国の重要文化財に指定されており、重要文化財としての保存を最優先しつつ必要な耐震性を確保する必要がある。

 今回、設計監理は三菱地所設計が担い、施工は戸田建設が行う。耐震補強には「免震レトロフィット工法」を適用。建物の下に免震層を設け建物を免震化する工法で、耐震壁や筋かいが不要となることから、建築物の意匠性を損なわずに耐震性を確保できる特長を有する。竣工は2019年の予定。

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