【トピー工業、高松信彦新社長の会見要旨】営業利益、「確実に3ケタ」が目標 モットーは「チャレンジ」

 トピー工業の高松新社長の会見要旨は以下の通り。

 「新日鉄に入社後、パリ留学や北海製鉄、国際鉄鋼協会、ウジミナスと4回社外を経験した。社外は5回目であり、また新たなチャレンジをしてみたい」

トピー工業・高松社長

 「トピー工業は2021年に100周年を迎える。大切な節目の時期での大役に嬉しい反面、業種も多岐にわたっており、やや身の引き締まる思いだ。まずは100年を超えて持続的に発展できるよう伝統を守りつつ、どう変わっていくかよく議論し、その礎を築けるよう全うしたい」

 「トピー工業の印象は、技術に支えられた頼もしい技術集団であり、職場が非常に明るい。改めて当社で働けることを名誉に感じる。新たな商品を積極的に出すことで息の長いヒット商品を持っている会社であり、技術で未来を切り拓ける会社でありたい。小さな改善を積み重ねながら、変わっていけるユニークな会社であり続けたいというのが現在の抱負だ」

――これまでの経験をどう生かすか。モットーや好きな言葉は。

 「モットーは『チャレンジ』。『チャンスはピンチ、ピンチはチャンス』が好きな言葉だ。もう一つ『ないものねだりをしない』。これは現場から学んだこと。現場では思い通りにいかないのが常。自ら知恵を出し、一緒に考え前に進まなければならない。ないものねだりをせずに一歩ずつ行く」

 「人材を生かすのは会社と言われるが、やはり人が会社を生かすのだと思う。社員がどのような会社にしたいかを引き出していきたい。これは海外事業の経験から学んだことだ」

――ホイール事業に関しての戦略は。

 「国内市場がどんどん発展するとは誰も考えていない。一方、海外では自動車の台数はまだ増えるし、当面はスチールホイールも増えるだろう。スチールホイールだけで考えることはできないが、海外で稼げる体制を整える必要がある。これは今までの方針通りだ。ただし、海外に工場をつくれば、すぐに稼げるというわけではない。当面は海外に仕送りができるよう国内が強くならなくてはならない。まずは、そちらに力点を置くべきだろう。準備はしつつ、バックアップできる体制をきちんと備えたい」

――経営の数値目標は。

 「現在進めている中期経営計画『G&C2018』は18年度に売上高2500億円、営業利益140億円が目標。まずは3ケタの営業利益が確実にとれるようにしたい。21年に向けてはもう一つ上を狙いたいが、ここは走りながら考えたい」

――豊橋製造所の印象や鉄鋼事業の強化ポイントは。

 「世界中でさまざまな製鉄所や電炉を見てきたが、驚いたというのが印象だ。これほど立派な敷地と設備をもつ電炉メーカーは見たことがなかった。下工程が古いので、そこは今後の課題だ。電炉や全体に関して言えば極めて充実した設備だ。それから非常にユニークな製品を製造している。例えば、セグメント用の部材やフォークリフトの柱材、ホイールのリム材や建機用足回り部品の履板など、ユニークな技術がありここをどう伸ばしていくかがポイントだろう」

 「私は国際鉄鋼協会の前に鉄源の仕事をし、そこで鉄鋼の循環図を作成したが、鉄スクラップの発生量が非常に増えてきた。私はいままで高炉メーカーで働いてきたが、そろそろ日本にも電炉が活躍しなくてはならない時期がきていると思う。今の鉄スクラップの集め方がよいのか不明だが、整える社会システムを含め、少しメスの入れ方を考えてみたい。新たな活路が見いだせないか検討したい」

――メスを入れる対象として製品は。

 「製品に関しては答えにくいが、可能性はなくはない」

――新日鉄住金グループとの連携に関しては。

 「鉄スクラップがかなり重視される時代が来るだろう。高炉メーカーも目をつぶることはできず、考えなくてはならなくなる。現時点で具体的な話があるわけでなないが、将来こちらから提案できるよう頑張りたい」

略歴

 高松 信彦氏(たかまつ・のぶひこ)1979年(昭54)東大工学部卒、新日本製鉄入社。2004年国際鉄鋼協会(現・世界鉄鋼協会)出向、08年同社知的財産部長、11年執行役員製銑技術部長、12年顧問、ウジミナス社執行役員技術・品質担当、14年8月新日鉄住金顧問、ウジミナス社副社長経営企画担当、16年4月常務執行役員グローバル事業推進本部副本部長兼ウジミナス社取締役、17年4月トピー工業専務執行役員社長補佐、同6月23日付で現職。山口県出身、1955年(昭30)6月2日生まれ。趣味は水泳とゴルフ。「体を動かすこと全般が好き」

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