高橋氏(新日鉄住金副社長)が早大で特別講義=鉄鋼協会主催 鉄鋼業の魅力紹介

 「鉄は3千年の歴史を持つ素材が、今でも潜在能力の10~20%しか生かし切れていない。将来的にも需要増加が見込まれ、強度や衝撃吸収性などの面でまだまだ研究の余地がある」―。大学生に鉄鋼業への理解を促すため日本鉄鋼協会が主催する「大学特別講義」の一環で、新日鉄住金の高橋健二副社長が3日、東京・大久保の早稲田大学西早稲田キャンパスで鉄鋼業の魅力について講演した。基幹理工学部と創造理工学部の2年生ら約300人が聴講し、質疑応答を通じて関心を深めた。

 東京大学で船舶工学を専攻した高橋副社長は、理系の見地も踏まえた上で鉄の特性や産業としての鉄鋼業を紹介。建材や自動車部品向けに年間約1億トンを生産する産業規模の大きさを強調しつつ「大量生産により、価格はペットボトルの水より安いくらい。もう少し高くてもいいかもしれない」と冗談めかし、聴講生らの笑いを誘った。

 学生からは今後の需要見通しや業界が求める人材像についての質問が続出した。高橋副社長は「足元は中国が必要量より多く造っているので調整局面にある。だが1人当たり年間500トンを使う日本のような近代化が全世界に広がれば、将来的にはまだまだ伸びる」と将来性のある産業であると説明。また「内需より輸出が増える日本では、技術力で海外勢に勝たねばならない。CO2(二酸化炭素)削減や高強度化など、グローバルで活躍できる研究者を歓迎したい」と呼び掛けた。

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