クウェート向け油井管、新日鉄住金が大量受注 耐サワー材など23万トン、継目無で最大級

 新日鉄住金は4日、クウェートの国営石油会社KOC向けに耐サワー材を中心とした継目無(シームレス)油井管約23万トンを受注したと発表した。今年から2020年までの3年間にわたる長期契約。継目無鋼管の油井管受注量としては過去最大級の案件となる。

 クウェート国内ではサブリヤ(Sabriya)やウンムニカ(Umm Niqa)など陸上の大型天然ガス田の開発プロジェクトが活況になっている。開発を手掛けるKOCに対して同社はこれまでも納入実績があり、2000年から16年までに約18万トンの油井管を供給してきた。

 今回は昨年実施された競争入札による契約。過去の供給実績が高く評価され、耐サワー製品をメーンに一部ハイアロイ品を含む大型受注となった。

 口径サイズレンジは3インチ1/2(88・9ミリ)~13インチ5/8(346・1ミリ)で、ケーシング主体で一部小径サイズはチュービング用途。油井管同士を接合する特殊ねじ継手(プレミアムジョイント)には、内外圧に強く製造コスト面でもメリットのある「VAM21」をメーンに採用している。

 和歌山製鉄所、尼崎製造所で製造・加工し、9月から出荷を開始する予定。

 今回の受注により今下期以降、和歌山製鉄所の継目無鋼管工場の精整工程は非常にタイトになる見込み。一方で油井管市況は引き合い数量増加や需給バランスの改善などで価格の上昇傾向が予想されている。新日鉄住金は今後、自社のハイエンド品を中心とした得意分野や供給能力を考慮した受注に注力していく方針だ。

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