長打大幅増の楽天茂木、西武秋山、今季パワーアップ&ダウンする打者は?

ペナントレースが折り返し点を過ぎた。今季のNPBの野手陣を見ると、長打が大幅に増えている選手が目につく。

楽天・茂木栄五郎【写真:荒川祐史】

今季パワーアップ&ダウン10傑

 ペナントレースが折り返し点を過ぎた。今季のNPBの野手陣を見ると、長打が大幅に増えている選手が目につく。

 選手の長打力を見る指標に「平均塁打」がある。塁打数÷安打という簡単なデータだが、この数字が1.5以下だと「つなぐ打者」、1.7以上で「中軸」、2以上で「本塁打王クラス」と言える。

 昨年と今年(7月4日時点)でともに規定打席に達している選手は、両リーグで41人いる。これらの選手の平均塁打と伸び率10傑は以下の通りだ。

茂木栄五郎(楽)1.47→1.75 19.4%
秋山翔吾(西)1.43→1.70 19.1%
鈴木大地(ロ)1.36→1.61 18.1%
デスパイネ(ソ)1.71→2.01 17.7%
内川聖一(ソ)1.43→1.66 16.0%
柳田悠岐(ソ)1.71→1.94 13.4%
T-岡田(オ)1.66→1.81 9.3%
桑原将志(De)1.46→1.56 7.2%
坂口智隆(ヤ)1.15→1.24 7.1%
安達了一(オ)1.18→1.25 5.8%

減少率のワースト10は?

 楽天の茂木は昨年7本塁打だったが、今季はすでに12本塁打。「恐怖の1番打者」として、2番ペゲーロとともに1回から投手にプレッシャーをかけている。故障をしたがオールスターにも選ばれ、後半戦は復帰しそうだ。

 西武の秋山も11本塁打から今季は15本塁打。安打製造機からスラッガーに変貌しつつある。遊撃から二塁にコンバートされたロッテ鈴木は中軸の働き。打線が崩壊する中で孤軍奮闘している。デスパイネは、今季ロッテからソフトバンクに移籍してさらに長打が増えている。内川、柳田のソフトバンク勢もパワーアップしている。

 反対に、減少率のワースト10は以下になる。

大島洋平(中)1.31→1.22 -6.6%
坂本勇人(巨)1.61→1.48 -8.4%
メヒア(西)2.02→1.82 -9.7%
ロペス(De)2.03→1.83 -9.8%
中村晃(ソ)1.31→1.18 -9.9%
鳥谷敬(神)1.37→1.21 -11.5%
山田哲人(ヤ)2.00→1.77 -11.7%
浅村栄斗(西)1.65→1.45 -12.1%
バレンティン(ヤ)1.92→1.61 -16.3%
筒香嘉智(De)2.11→1.71 -19.0%

2枚看板が大きくパワーダウンするヤクルト、茂木&秋山はスラッガーに変貌?

 中日の大島、巨人の坂本のように打率が上がっていても長打が減っている選手がいる。昨年2冠王のDeNA筒香は復調しつつあるが、平均塁打は大きく下落。同僚のロペスも長打が減っている。この穴を宮崎、桑原などが埋めている状態だ。

 ヤクルトはバレンティン、山田の2枚看板が、大きくパワーダウン。今季のチーム低迷の最大の原因になっている。筒香、バレンティン、山田ともにWBCで春先に活躍した。その影響は否定できないのではないか。

 一方、阪神の鳥谷敬は遊撃から三塁にコンバートされ、打率はアップしたが、長打は減った。出塁、つなぐ野球を意識しているからかもしれない。

 楽天・茂木と西武・秋山はこれからスラッガータイプへと変貌していくのか。ヤクルトの山田、DeNAの筒香は復活するのか。ペナントレースとともに個人成績にも注目していきたい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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