新日鉄住金ステンレス、店売りNi系冷薄5000円下げ 7月契約、原料価格低下と為替の変動で

 新日鉄住金ステンレスは、店売り向けニッケル系冷延薄板の7月契約販売価格を5千円引き下げる。ニッケル、クロム原料価格と為替の変動に伴い、独自のアロイリンク方式に基づくアロイ価格が5千円下げとなり、この下げをそのまま販価に反映する。5千円値下げは2カ月連続だが、2016年7月契約以降の累計値上げ幅は、この1万円下げを織り込んでも5万円に及ぶ。現在の市中在庫は高値玉に入れ替わっているが、市中の値上げ転嫁はまだ途上で、需給タイト感の強さもあり、流通は未達分の転嫁を図っている。市中では「秋口までこの動きが続く」とみる向きが多い。

 内需は堅調で需給タイト感は依然強い。5月の冷延輸入は過去最高を記録し、「6月も同程度が見込まれる」(薄板営業部)が、「輸入増で需給緩和が進んだという感触はない」(同)という。

 下期は需要期に入る上に建築・外装などプロジェクト物件も複数見込まれ、需給タイトな状況が継続する見通しだ。

 光、鹿島製造所はフル操業を継続しているが、物流コスト上昇が採算圧迫要因となっている。7~9月積みフェロクロム価格の低下が見込まれる中、需給ひっ迫と物流コスト増を勘案し、8月契約以降でのベース値上げを検討していく。

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