JFEエンジなど4社と富士市、地域電力供給で協定 鉄道軌道敷を活用した事業計画策定

 JFEエンジニアリング(社長・大下元氏)は、東京電力エナジーパートナーら3社と共同で、静岡県富士市内のローカル鉄道線、岳南鉄道を活用した地域電力(分散電力)事業を進める。同事業実現に向け6日、事業計画策定に関する協定を富士市と締結した。鉄道の軌道敷を活用した地域電力事業は、全国で初めてのケースとなる。

 同事業は、同市内の大規模製造工場が保有する既設の特別高圧受変電設備を利用し、事業用の電力を一括受電する。2012年に貨物輸送を終了した岳南鉄道の軌道敷を活用し、需要家向けの電力自営線(電線)を新たに架設。新規に設置したコージェネレーションシステムを通じて、事業エリアの需要家に電力および熱源を供給するもの。

 既存の鉄道の軌道敷を活用するため、一般電力事業者の電線と干渉することなく電線を架設できるほか、新たな用地取得が最小限で済むなどのメリットがある。

 富士市が岳南鉄道線のインフラを活用した地域エネルギーの可能性調査を行っていた中、オブザーバーとして調査に参加していたJFEエンジニアリングのほか、東京電力エナジーパートナー、静岡ガス、テス・エンジニアリング4社による共同提案を採択。協定の締結に至った。

 来年2月をめどに事業計画を策定し、早ければ20年度に事業を開始する計画。事業規模は現段階で、岳南鉄道線の吉原本町駅周辺から比奈駅周辺(4・1キロメートル区間)の製紙会社ら需要家向けに、2万キロワット規模の電力供給を見通す。

 JFEエンジは、コージェネレーションシステムの設置や、電力・熱エネルギー供給に関する検討を担い、事業化後は、同システムのメンテナンスなど運用事業に参画する計画。

 同社では、現在10自治体とエネルギー供給事業に関する交渉を進めているが、BtoG事業のさらなる拡大を狙う。

 同日、富士市役所で行われた協定式に出席した吉田佳司JFEエンジニアリング副社長は「今回の協定締結により、富士市内の各企業の競争力強化や、地産電力であるがゆえに、災害などに強いエネルギー供給の構築実現に寄与したい」と述べた。

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