東京製綱、海外の防災製品事業を強化=ロシアに合弁新工場 カザフの生産拠点も拡張移転、インフラ整備需要を捕捉

 東京製綱は、海外の防災製品事業を強化する。6日にはロシアの現地資本と同国内に合弁会社を設立し、新工場を建設するほか、隣国カザフスタンの現地法人が操業する製造販売拠点を拡張移転すると発表。法面保護材をはじめ、土木分野で強みをもつ自社製品の供給を通じて、道路や河川向けをはじめインフラ整備の関連需要を捕捉する。

 ロシアで同日、スキー場や付帯施設の設計、建設などを手がけるロスエンジニアリング社と、北西部のサンクトペテルブルグ市に合弁会社「TRエンジニアリング」を立ち上げることで契約を締結した。資本金は3億2300万ルーブル(約6億5千万円)で、東綱60%、ロス社40%の比率で出資する。

 東綱は12年のソチ五輪の会場整備事業でロス社に防災製品を納入して以来、両社間で協業関係を構築。ロシアで国内製品を優先的に採用するローカリゼーションの機運が高まる中、高速道路をはじめ各地で旺盛な土木工事案件に対し、両社の経営資源を効率的に活用した最適な製造・販売体制の確立に向けて検討を進めてきた。

 計画では、同市の経済特区に約1万3500平方メートルの敷地を借り受け、18年4月の操業開始予定で工場を整備する。これまでの日本からの輸出や現地の協力会社からの出荷を新工場での対応に切り替え、マイティネットやTRロックボックスといった東綱が手がける落石防護網をはじめとする防災製品を生産する。

 販売見通しをめぐっては、初年度の18年度は1億5500万ルーブル(約3億1千万円)の売上を見込み、3年後の20年度には倍増を目指す。国内向けを主体に周辺国への営業も視野に入れる。

 カザフスタンでは、昨年5月に南東部のアルマティ市に設立した現地法人「トウキョウロープ・アルマティ」で同11月から稼働する工場について、18年4月にも郊外の工業ゾーン、アラタウ地区に拡張移転する。着実に受注実績を上げ、販売する製品群の拡充が迫られる一方、現有地は手狭で、市から用地のあっ旋があったことなどから新工場で製造品目を増やすことを決めた。

 新工場は敷地面積を約4万平方メートル有し、従来比3倍の3千平方メートルの建屋を構える。今月4日には現地で起工式があり、同市のバイベック知事や東綱の田中重人会長らが出席した。

 東綱は16年3月期から5年間が対象の中期経営計画「TCT―Focus2020」において、開発製品セグメントで「防災製品の海外拡販」を掲げている。これまでに納入実績があり、パートナーとの協力関係を深めるロシアや中央アジア、中東などを重点地域に据え、市場開拓を進める。

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