両リーグで6人のみ フルイニング同一ポジションで出場する「不動の野手」

7月9日に1500安打を記録した巨人の坂本勇人は過去9年間、正遊撃手として活躍してきたが、それでも他の選手にポジションを譲ることがある。今季はクルーズが2試合、寺内崇幸が3試合(途中出場)、遊撃を守っている。

西武・源田壮亮【写真:(C)PLM】

1つのポジションを1人の選手がずっと守る、本当の意味での「不動の野手」

 7月9日に1500安打を記録した巨人の坂本勇人は過去9年間、正遊撃手として活躍してきたが、それでも他の選手にポジションを譲ることがある。今季はクルーズが2試合、寺内崇幸が3試合(途中出場)、遊撃を守っている。

 1つのポジションを1人の選手がずっと守る、本当の意味での「不動の野手」は、極めて少ない。

 両リーグの「不動の野手」(試合数は9日時点)、パ・リーグは西武の2人だけだ。

西武
遊撃手 源田壮亮 76試合
外野手 秋山翔吾 76試合

 新人・源田は開幕からフルイニング出場。新人で全試合、全イニングフル出場するとすれば、1956年高橋ユニオンズの二塁手・佐々木信也(慶應義塾大学のち「プロ野球ニュース」キャスター)、1958年巨人の三塁手・長嶋茂雄(立教大学)、1961年の国鉄の三塁手・徳武定之(早稲田大学)以来4人目。ドラフト制以降では初のケースとなる。

 秋山は2015年からフルイニング出場を続けている。

 ロッテの鈴木大地は二塁は全試合1人で守っているが、出塁して代走を一度送られているのでフルイニング出場とはならない。

セ・リーグの「不動の野手」は…

 セ・リーグの「不動の野手」は4人だ。

広島 
遊撃手 田中広輔 80試合
外野手 鈴木誠也 80試合

DeNA
遊撃手 倉本寿彦 79試合

ヤクルト
二塁手 山田哲人 79試合

 広島はリードオフマンの田中広輔と、「神ってる鈴木」がフル出場。守備面でもチームを引っ張っている。外野手の丸佳浩も外野で全試合出場しているが、途中交代が6試合ある。

 二塁の菊池涼介は2014、15年と二塁をフルイニング守ったが、昨年は3試合、今季は5試合他の選手にポジションを譲っている。

 DeNAは、若手の倉本がフル出場。外野手の桑原将志も全試合出場しているが、1試合だけ途中交代している。

 ヤクルトは、打率最下位の.224にあえいでいる山田哲人が二塁手としてフルイニング出場。不調でも休めないのは苦しいところだ。

 ペナントレースを戦ううえで、選手のポジションを固定するほうが有利なはずだ。とはいっても、全く休まないのは、選手の負担も大きいし、怪我のリスクも高まる。本来はサブの選手を置くべきだろうが、20代の働き盛りの主力選手は、1試合も欠場したくないはずだ。

 全イニングフル出場の「不動の野手」は、そういう条件の下、限られた選手にしか許されない。文字通り「チームの顔」だ。今季は何人が「不動の野手」のままフィニッシュするのだろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)

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