関東の鉄スクラップ輸出入札、電炉買値上回る高値落札 7月契約、2510円高の2万8035円

市況押し上げ材料に

 関東地区の鉄スクラップヤード業者で構成する関東鉄源協同組合(理事長・山下雄平ヤマシタ社長)は11日、7月契約の鉄スクラップ輸出入札を行い、平均2万8035円(H2、FAS)で合計2万トンを落札した。前月比では2510円の上昇。2カ月連続で前月の落札価格を上回り、今年では3月契約(平均3万1168円)に次ぐ2番目の高値だった。足元の電炉メーカー買値を大きく上回る堅調な落札結果だったことは、国内市況の押し上げ材料となりそうだ。

 今回は応札15商社のうち1社が辞退し、14社が合計24件を応札した。合計の応札量は14万8千トンで前月比2万7千トン増だった。

 入札の結果、2万8110円(1万トン)と2万8100円(5千トン)、2万7820円(5千トン)の3件を落札した。1番札の向け先はベトナムで、その他は未定とされた。今回落札分の船積み期限は8月31日。

 次点の4番札は2万7800円(5千トン)で3番札と僅差だったが、夏場の発生低調を考慮して落札を見送った。また、応札のうち上位12件までが2万7500円以上で、応札全体の平均価格は2万7344円だった。

 関東地区の鉄スクラップ市況はやや様子見の中、輸出の堅調感から湾岸価格がジリ高となっていた。11日時点でメーカー実勢購入価格(H2)は2万6500~7千円。湾岸価格(同)は2万6500円どころ。足元の輸出はベトナム向けがH2=FOB2万7500~8千円、韓国向けが同2万7500円に切り上がっている。

 今回の落札価格はメーカー買値や湾岸価格を大きく上回った。特に1番札と2番札が事前想定の高値圏である2万8千円台を付け、輸出の先高観が明示された格好。為替の円安傾向も高値落札の一因とされた。入札後、山下理事長は「2万7500円以上が出てほしいと思っていたが、非常にありがたい結果だ」と感想を述べた。

次回船積みを14日に前倒し/2隻重なり一段と需給タイト化も

 関東鉄源協同組合は11日、次回の船積みが14~21日で1万トンの予定になったとした。当初は18~24日の予定だったが船の都合で前倒しされた。同組合は現在14日までの予定で1万トンの船積みを実施中。次回の船積みが前倒しされたことで14日は同組合の船積みが2隻重なる。

 15日からは電炉メーカーで3連操を控えており、今週末にかけて地区需給は一段とタイト感が強まりそうだ。

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