――部門の概要は。
「取扱い数量は年間100万トン程度。そのうち厚板が約75万トン、鋼管が約25万トン。輸出は海外市況などに左右されるが20万トンプラスαで、全体の2~3割を占める」
「人員は東京本社に51人。造船向けの取扱いが多い四国支店と中国支店は当本部の管掌だ」
――連結対象先の事業会社は?
「JFEスチール、丸一鋼管との合弁プレスコラムメーカーであるセイケイ(出資比率51%)と、新日鉄住金が3%出資する新三興鋼管(出資比率97%)の2社」
――造船向けや建産機向け加工などに加え、メーカーへの出資など一般投資の企業は。
「MBS全体では電炉厚板メーカーの中部鋼鈑のほか、造船向け加工のサカコーや太陽シャーリング、建産機向け加工を手掛けるテクノタジマなどがある」
――まずは厚板の取り組みについて。
「主力分野は造船だが、日本の造船業界は世界でナンバーワンの実力を持っていると思っている。仕入れ先の鉄鋼メーカーと販売先のお客様の、双方のニーズを調整し、日本産業界の質的・量的な向上に力を尽くしたい。足元、造船業界の業況感は少し低迷しているが、これまでの歴史を見ても、いくつもの波があって今に至っている。単年度の業績は都度、経済環境の影響を受けるが、日本の造船業は地力があり、長い目で見て楽観的に捉えている」
「鉄鋼業、造船業、建産機業界といずれも日本の産業をベースから支える重要な産業だ。仕入れ先とお客様をつなぎ、鉄鋼流通としての機能と役割を果たすことで、日本産業界のプレゼンス拡大に携わりたい」
――鋼管は。
「用途が広く、裾野が広い分野だ。厚板と同様に、仕入れ先の鉄鋼メーカー、お客様、流通を担う当社の3者が、それぞれの機能や役割を果たすことで質と量の向上につなげていきたい。目指す方向は厚板と同様だ」
――有力特約店など国内二三次流通に出資したり、M&Aで傘下に入れることは?
「国内流通の再編統合が進んでいく中で、ひとつのやり方だとは思う。今は具体的案件はないが、将来的に検討する局面もあろうと思う」
――三井物産スチールの厚板と鋼管の事業は、今後も物流取引(トレーディング)に重点を置きますか?
「将来は当社が別の形で機能や役割を果たすケースも大いに出てくるだろう。常に業態が変わっていく可能性があり、絶対的な姿や完全な姿はないのではないか」(一柳 朋紀)
プロフィール
橋 誠氏(はし・まこと)87年(昭62)大阪外語大ロシア語学科を卒業して三井物産に入社。ロシア語研修生でペテルブルグに滞在した後、カザフスタンのアルマティ事務所開設に携わった。その後は条鋼やブリキなどの仕事が長い。海外事務所では厚板や鋼管の貿易も。海外駐在はロシアのほかシンガポール、ドイツ、チェコで計15年。4月にシンガポールから帰国して、「久しぶりに日本国内を旅行したい」と。週末はゴルフや都内散策でリフレッシュ。家族は夫人。