プレマ・セオドールレーシング 2017年FIA F2第5戦オーストリア レースレポート

ルクレール、連続ポール記録を更新。

フィーチャーレースでポール・トゥ・ウインを決める。

2017年7月7~9日
オーストリア/レッドブルリンク

フィーチャーレースでシャルル・ルクレールがその韋駄天ぶりを遺憾無く発揮し、戦中4度目の勝利を達成

 今にも泣き出しそうな不安定な天候だったがトラックコンデションは常時ドライ。

 予選では前半・後半に分けてアタックするのが最近の常となったが、今回は急な雨に備え早めに決めておく必要があり、前半のアタックですでに#1シャルル・ルクレールはポールタイムをマーク。

 そして全車ピットに戻り様子を見る。ラバーが乗りトラックコンディションが整ったラスト10分、全車ピットアウト。

 シャルルが今期5度目となるポールを確定。このところ不振に見舞われていた#2 アントニオ・フォーコが3番手と快走をみせた。

シャルル・ルクレールとアントニオ・フォーコ

 また予選終了後の車検で#14 セルジオ・セッテカマラ(MPモータースポーツ)の車両違反が見つかり予選タイム抹消。アントニオは2番グリッドを手に入れプレマセオドールのワン・ツー・グリッドが確定した。

レース1

 レースではプライムのソフトタイヤをチョイスし、スタートを綺麗に決めたふたりのフェラーリJr.ドライバーだが、フォーコはより素晴らしダッシュを決めシャルルのすぐ後ろについた。
 
 しかし抜くにはいたらずふたりは互いにファステストを更新しながらリードを広げた。
 
 最初に動いたのはDAMS勢だった。スーパーソフトでスタートし7周目から連続でピットイン。後半の逆転を狙う作戦に出た。シャルルとフォーコは逆に30周まで引っ張りその間にリードを稼ぐ。
 
 30周終了時にアントニオ、31周終了時にシャルルがピットイン。DAMS勢とは逆の戦略でソフトからスーパーソフトに交換しコース復帰。大量リードを奪っていたシャルルはDAMS勢の前でコースへ復帰できたがフォーコはDAMS勢の間に挟まるかたちでの復帰となってしまった。
 
 フォーコはフレッシュタイヤの威力で#9 オリバー・ローランドの前に出て2位を奪い返すがスーパーソフトのデグラデーションが酷く、フォーコは#10 ニコラス・ラテフィに抜かれ後退してしまうが何とか走りきりそのまま3位でゴール。自身のF2初表彰台を手に入れた。
 
 一方ルクレールも酷いタイヤのデグラデーションに悩まされながらも2位に上がったラテフィの猛追を抑え優勝。ここまでに5回開催されたF2のフィーチャーレースのうち4回を勝利するという異次元の才能を見せつけた。

レース2

 レース1のトップ8がリバースグリッドとなるレース2。フォーコは6番手、ルクレール8番手からのスタートとなる。
 
 グリッド上でストールしたクルマが出て大混乱。間一髪ルクレールが交わすという際どいスタートとなった。しかしターン1でもスピンする車両が発生しセーフティカーがコースイン。

 この時点で4位フォーコ、6位ルクレールとそれぞれポジションアップした位置からの再スタートとなる。

 セーフティカーがピットインした5周目、フォーコは前を行くローランドに果敢に仕掛けるがローランドは走路妨害とも取れる動き方でフォーコを抑える。

アントニオ・フォーコ 2017年FIA F2第5戦オーストリア

 ターン4出口でフォーコはローランドのアウト側に並ぶがブロックされ一瞬減速。そこへ後ろから猛ダッシュで追い付いてきたルクレールが追突しスピン。ルクレールはここでまさかのリタイアとなってしまった。
 
 フォーコ自身もタイヤにフラットスポットを作ってしまいペースが上がらず、残り3周というところでルカ・ギオットに抜かれ5位でフィニッシュとなった。
 

コメント:

テディ・イップ・ジュニア チームプリンシパル

 二人ともフロントローに並べてポディウムに登壇できた事を凄く嬉しく思います。次のレースもこの流れが維持できる様に期待します。

#1 シャルル・ルクレール

 このレースウイークエンドに達成したことについてはとても満足しています。手に入れられる最高の結果が手に入れられたと思ってるよ。
 
 レース1は楽勝でも何でもなく本当に厳しいレースだった。スタートはうまく決まってトップを維持できたけど、かなり長い周回をこなさなければいけなかったからね。
 
 中盤にタイヤをいたわりながら何周かプッシュした。結果的にあのマージンがレース終盤に活きてくれたね。
 
 というのも最後に履き替えたソフトのデグラデーションがひどくてあっという間にラティフィに追いつかれてしまったからね。何とか逃げ切れて本当に良かったよ。
 
あれだけスーパーソフトが保たないのなら最初のスティントをもっと引っ張る選択肢もあったかもしれないと走りながら思ったりしたよ。

 でも結果的に最初のセットもあれが限界だったんだ。その意味で僕らの戦略はあれしかなかったし本当にギリギリの勝利だったということさ。

 最高の週末ではあったけど唯一レース2のアクシデントだけは予想外の出来事だった。

 タイミングと巡り合わせがちょうど悪い方に働いてしまった不幸な事故だった。チームメイトとの接触で実際に何が起きたかについては具体的に言及したくない。もうそのことは考えないようにしてるし今はシルバーストンで再び最良の結果を出すことだけを考えてるよ。
 
 あのサーキットは大好きだし、去年の結果も悪くなかった。来週末のレースで悲観的になる理由はまったくないね

#2 アントニオ・フォーコ

 レース1はすごく良いスタートが決められ、レース中盤まではタイヤをいたわる事を第一に考えて走っていました。
 
 第1スティントの最後の方はかなりタイヤがタレてきてしまいシャルルよりも先にピットインすることにしたんだ。

 スーパーソフトに履き変えてコースに戻った時はローランドの後ろだったけど、彼を抜き去る事ができたのは良かったね。

 けれどそこからのタイヤのタレが大きくなってきてレース終盤はもの凄くキツかったよ。

 ラティフィがもの凄い速さで迫ってきているのはミラーで見えていたから、無理に抵抗してタイヤを壊すことを避ける為に彼を先に行かせ、ローランドから3位を守ることに集中したんだ。F2で初めて表彰台に立つことができて本当に良かったよ。
 
 レース2も良いスタートを決めて4位に上がりセーフティカーが開けたところでローランドにアタックしていったんだ。ターン4で並んでコーナーに入っていったのに彼は僕をクレイジーなくらいに押し出してきた。

 彼は手前のストレートで2度も進路を変えてきたしブレーキングでも動いた
とてもフェアなドライビングだったとは言えないと思う。フェアかどうかの限界を超えていたかどうかは僕が判断すべき事じゃないかもしれないけど、限界ギリギリの線だったことは間違いないだろう。

 結果的にシャルルが追突して彼がレースを終えることになってしまったのは残念だけど、彼に何が起きたのかはまだ映像を見ていないからはっきりとは把握できていないんだ。
 
 タイヤをロックさせてしまいフロントタイヤの両方ともフラットスポットを作ってしまったのであの後はペースを維持するのは楽ではなかった。
 
 そのせいで最後に1台抜かれてしまったんだ。クルマ自体はとても良かったのに残念だよ。それでも両レースともに多くのポイントを獲得できたことは悪くなかったと思う。
 
 ここまでは不運が多くて良いレースができていなかったけれど、ようやく本来の速さが出せるようになってきたし間違いなく正しい方向に向かいはじめている。
次のシルバーストンでも良い走りができると思うしさらにプッシュしていくよ。

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