【日本・台湾鉄鋼対話】保護貿易主義拡大に対応、情報交換を強化 米の通商法232条でも

 経済産業省と台湾・経済部は、鉄鋼貿易をめぐり保護貿易主義が拡大している問題に対し、情報共有などを通じ協力を強化していくことで一致した。今週、台北市で開いた日本・台湾鉄鋼対話で確認した。日本・台湾間ではこれまでも、インドの熱延セーフガード(SG)措置などについて情報共有を図ってきた。ここにきて米国が通商拡大法232条(国防条項)の発動を検討するなど保護主義的な動きがさらに広がっているため、日本、台湾間での情報交換を強化する。

 米国の232条については台湾側が協力を要請。日本側はこれに対し、現時点では確定的な情報は乏しいとしつつ、必要なら情報共有を図る用意があると伝えた。

 対話では、台湾側が日本から台湾へのH形鋼輸出に言及。ミルシートが添付されていない製品が割安な価格で輸出されていると指摘した。台湾側はこれを「発生品」と称し、台湾の同業者の操業率低下を招いていると訴えた。台湾が指す「発生品」の定義が不明確なため、日本側は実態を調べた上で台湾側の意向を日本の関係業界に伝えたいと答えた。

 日本・台湾鉄鋼対話は今回で17回目。日本側は経済産業省の小見山康二・金属課長ら政府関係者のほか、新日鉄住金の中村真一常務、JFEスチールの野房喜幸常務執行役員らが出席した。

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