住友金属鉱山、廃リチウム電池から銅・ニッケル回収を日本で初めて商業化 月間5~6トンのニッケル回収

 住友金属鉱山は13日、熱処理などで無害化された使用済みリチウムイオン二次電池(LiB)やLiBの製造過程で発生する中間物から、銅およびニッケルを回収し、再資源化することを日本で初めて実用化したと発表した。

 廃LiBから回収したニッケル原料を二次電池用の正極材として使う「電池to電池」の再資源化も日本で初めて実現した。すでに商業ベースでの再資源化をスタートさせており、6月から廃LiB由来原料の処理を開始した。今後は処理を安定化させ、月間5~6トン程度のニッケルを回収する計画。また、将来的にはコバルトなどLiBに含まれる他の有価金属の回収も目指す。

 LiBはニッケル水素電池と比較すると有価金属の含有量が低く、再資源化の採算性が悪いため、経済的に有価物を回収するのが困難だった。これに対し同社では、東予工場(愛媛県西条市)における乾式銅製錬工程とニッケル工場(愛媛県新居浜市)の湿式ニッケル製錬工程を組み合わせた処理フローを確立し、原料中の不純物濃度を的確に管理することにより、国内で唯一、銅およびニッケルを商業的に回収する技術を確立した。

 さらにニッケル工場で回収されたニッケルは磯浦工場(愛媛県新居浜市)で硫酸ニッケルから二次電池の正極材料に加工され、日本で初めて廃LiBからの「電池to電池」のリサイクルも実現した。

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