東京製鉄の8月鋼材販価、全品種据え置き 6カ月連続、内需に勢い欠く

 東京製鉄は18日、8月契約の鋼材販売価格を全品種で前月比据え置くと発表した。据え置きは6カ月連続。国内は各品種とも市中在庫が低水準で、電炉の夏季減産もあって秋口に向け需給バランスは引き締まる見通し。半製品を含めた海外市況の強基調に加え、主原料である鉄スクラップ価格も上昇しており「外部環境は強くなっている」(今村清志常務営業本部長)。ただ、国内需要は勢いを欠き「足元はまだ値上げできる環境にはない」(同)として販価を据え置いた。

 8月契約の主な品種の販価(ベースサイズ)は、H形鋼がトン7万8千円、ホットコイルが同6万2千円など。物件対応や在庫品の販売も18日午後から受注を開始し、H形鋼がトン7万8千円、異形棒鋼が同5万6千円、厚板が同7万2千円と、前回と同じく建値での販売とした。

 同社の生産は各品種とも9月ロールの予定が完了。今回の物件向けは10月ロール以降での対応となる。

 足元の輸出商談は、ホットコイルがFOB510~530ドル、H形鋼が同550~570ドルと前月比で10ドル上昇した。同社では輸出も10月以降のロール対応となっており、「どんどん成約できる状況にはない」(同)とした。

 輸出の引き合いは大幅に増えており「海外市況の潮目は完全に変わった」(同)と指摘。変化の要因として中国の内需堅調による輸出の減少を挙げ、「この強基調は当面続く」(同)との見方を示した。

 また、米国の鉄鋼業に関する保護主義的な動きに関しては「(鋼材の輸入関税引き上げなどが)実行されるか不明だが、実行されれば米国市況は高騰するだろう」(同)とコメント。

 同社では米国向けの輸出について様子見の姿勢とした

 鉄スクラップ価格については「海外が強く、お盆過ぎごろまでは強含み」との見方を示した。下期の電極など資材価格の高騰に関しては「供給面の心配はないが、大幅な値上げ要請もあり、ある程度のコスト高は覚悟せざるを得ない」(同)とした。

 7月の生産量は17万トンを予定。うちH形鋼8万トン、ホットコイル6万トン(うち輸出5千トン)、厚板1万トンの見通し。

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