海外ホットコイル市況続伸、4カ月ぶり500ドル台乗せ

 熱延コイルの海外市況が続伸している。国内市場が堅調な中国ミルが輸出商談で強気の姿勢を見せており、足元の成約価格では4カ月ぶりにトン500ドル台を回復した。日本の高炉大手もホットの輸出価格引き上げに動いているが、足元の市況上昇が急なだけに安値づかみとならないようより高値に照準を置き商談を進めている。

 中国勢はメーカーによって週ごとにオファー価格を変えるケースもあり、市況の変化が表れやすい。直近の9月積み商談では、一部の東南アジア向けでCFR500ドル台前半での成約が見られ、FOBベースでも500ドル台に到達しつつある。

 海外ホット市況は3月下旬に500ドルを割り込み、4月下旬に直近の最安値となる430ドルを付けて以降、上昇基調が続いている。ここ3カ月で100ドル近く値上がりした格好だ。

 最大の要因は東アジアの主要ミルが軒並み輸出での余力に乏しいことがある。新日鉄住金やJFEスチールといった日本勢は国内市場への供給を優先。中国勢も自動車や建材といった内需の好調と違法鋼材「地条鋼」の排除による需給タイト化で「依然として輸出には消極的」(日本の高炉メーカー輸出担当)という。

 日本高炉にとり、採算改善の好機を迎えているが、地域によって市況の上伸力にはバラツキがあり、通常は相対的に高値を付けることが多い韓国やタイではホット市況の値上がりがやや遅れている。また海外市況の上昇で輸出向けの採算も改善していることから、中国勢が今後の輸出を増やすとの警戒感もある。これら情勢を見極めつつ、市況水準より高値での成約を目指す、上昇局面ならではの難しい商談を迫られている。

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