金属行人(7月25日付)

 何十年ぶりだろう。中学・高校時代の友人との再会。故郷から遠く離れてあっという間に時間は過ぎ、当時騒がしかった者が落ち着き払って美髯(びぜん)を蓄えていたり、派手な音楽活動で目立っていた者が良妻賢母で人生に磨きをかけていたり。変わらず若々しく、本当に同級生か、と鏡に映った己と比べてみたり。他界した友人も結構いた▼偏見だろうが、当時から優秀で一流のビジネスに携わっている人が案外疲れた表情をあらわにしていたり、クラスで1、2を争う美男子がすっかり見違える容姿になっていたりするケースがやたらに目に留まる。目立っていたから印象的なだけなのだろう▼健康だった友が病気で苦しんでいる話も聞こえてくる。それぞれの試練を背負っているのか、若き日の生活態度が今になって顕在化したのか。理由は定かではない。何はともあれ、生き様の「原因と結果」みたいなものを、ごく短時間で、しかもすごい説得力で知ることのできる大変な機会だと、ただただ驚いた▼もうすぐ夏休み。帰省の折に旧友と再会する方もいらっしゃるに違いない。鉄の世界も大きく変わりそうだが、我々も刻一刻と変わっている。再会を機に、そんな感慨にふけるのもまた、いいかもしれない。

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