宇部マテリアルズの製鋼用・耐火物原料、2年ぶり値上げ=10月から10~15% 中国の生産規制で需給ひっ迫

 耐火物原料や石灰製品の製造大手で、宇部興産グループの宇部マテリアルズ(本社・山口県宇部市)は、製鋼用耐火物の原料となるマグネシアクリンカー(重焼マグネシア)の販売価格を10~15%引き上げる。10月1日出荷分から実施する。値上げは2年ぶり。マグネシアクリンカーは中国の生産・輸出減を背景に需給ひっ迫が鮮明となっており、国内唯一のメーカ―である宇部マテリアルズに対する引き合いも急拡大している。値上げによって安定供給を継続するためのコスト増などを吸収したい考え。

 値上げ幅は最大で1トン当たり1万円程度になるもよう。セメントれんが用のスピネルクリンカーも30%値上げする。

 マグネシアクリンカーをめぐっては、最大の供給国である中国で昨年来、環境規制による生産停止命令が相次いだ。クリンカーの原料となるマグネシサイト鉱の産地、遼寧省では、焼成工場の休止命令に加え、鉱山の操業規制が敷かれており、原料鉱石の品不足が深刻になっている。

 こうした中でマグネシアクリンカーの対日輸出も減少。中国品の対日価格はここ数カ月で2倍以上に跳ね上がった。

 宇部マテリアルは昨年、出荷数量が低迷していた不採算品種の生産を停止。「色付きクリンカー」と呼ぶ鉄分・ドロマイト含有品については在庫販売を継続していたが、9月末にはこうした製品の販売も完了する。生産品の集約を受けて、生産継続品の安定供給体制を再構築する構えで、この一環として宇部工場(山口県宇部市)の老朽化設備の更新などに入る予定。製品値上げによって設備更新にかかるコストなどを吸収したい考えだ。

 マグネシアクリンカーは、転炉や真空脱ガス炉用耐火物の主原料。耐火物原料ではほかに、アルミナ系の原料も値上がりしている。耐火物メーカーは今後、原料価格上昇への対応を迫られそうだ。

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