“絶対的守護神”のサファテと松井、データ分析で見るスタイルの違いとは

ソフトバンクと楽天は、パ・リーグ首位を巡り、激しいデッドヒートを繰り広げている。両チームに共通するのは「絶対的なクローザー」の存在だ。サファテと松井裕樹。この2人はかつてないハイペースでセーブを稼いでいる。

ソフトバンクのデニス・サファテ(左)と楽天・松井裕樹(右)【写真:荒川祐史、編集部】

揃ってシーズン記録46セーブを塗り替えるハイペース

 ソフトバンクと楽天は、パ・リーグ首位を巡り、激しいデッドヒートを繰り広げている。両チームに共通するのは「絶対的なクローザー」の存在だ。サファテと松井裕樹。この2人はかつてないハイペースでセーブを稼いでいる。

 7月25日現在、サファテが31セーブ、松井が29セーブを挙げている。残り試合を考えれば、2005年に中日の岩瀬仁紀、2007年に阪神の藤川球児が記録した46セーブというシーズン記録を更新する可能性がある。

 ともに優秀なクローザーだが、2人の投球スタイルは微妙に違う。

○今季の成績
サファテ 40試合1勝1敗31セーブ3ホールド 40回1/3 防御率0.89
松井裕樹 43試合3勝1敗29セーブ4ホールド 44回2/3 防御率0.20

 ずば抜けた成績だが、さらに吟味するといろいろな違いが見えてくる。

○奪三振と制球力(K9、BB/9は9回あたりの奪三振、与四球数)
サファテ K/9=14.06 BB/9=1.12
松井裕樹 K/9=10.07 BB/9=4.43

 ともにイニング数を上回る奪三振数を誇るが、与四球数は大きく異なる。サファテは滅多に打者を歩かせることがなく、制球力がずば抜けていると言えるだろう。一方、松井は2イニングに1つ四球を与えるペース。塁に走者を背負うことが多く、制球力は標準以下と言えそうだ。

○被打率と被本塁打
サファテ .169 2本
松井裕樹 .146 0本

 被打率を見ると、松井裕樹はサファテよりもかなり低い数値だ。さらに被本塁打も0。やや制球に難はあるかもしれないが、走者を背負っても滅多に本塁に返すことはない。

左打者が不得手なサファテ、松井は左右打者とも被打率1割台

○右打者、左打者の被打率
サファテ 右.127 左.205
松井裕樹 右.132 左.178

 サファテはやや左打者を苦手にしている。ここまで5与四球だが、このうち4つを左打者に与えている。相手球団もこれをよく知っていて、サファテには左打者を当てている。このためサファテの対戦は左打者と80打席、右打者と66打席対戦と左打者の方が多くなっている。今後も左打者対策が大きなポイントになるだろう。
 
 松井は右左ともに1割台。対戦数は右打者が123打席、左が53打席。相手球団は、特に左打者をぶつけておらず、左が不得手という認識はないだろう。

○連投
サファテ 2連投7 3連投2 5連投1
松井裕樹 2連投7 3連投2 6連投2

 ともに厳しい連投を経験しているが、シーズン終盤を迎えるこれからの時期はスタミナの勝負になってくる。そこで問題になるのが投球効率だ。

○投球効率(球数と1イニングあたりの球数)
サファテ 589球 14.60球
松井裕樹 763球 17.08球

 救援投手は先発投手よりも球数が嵩む傾向にあるが、サファテは先発投手と比べても優秀。無駄球を投げず、どんどん打者を打ち取っているスタイルが読み取れる。松井は、与四球が多いこともあって、多めの球数を要していることが分かる。
 
 サファテは36歳、松井裕樹は21歳。若い松井の方がスタミナはあるだろうが、今後の厳しい局面で2人はどんなパフォーマンスを見せるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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