東洋アルミニウム、新タイプのメタリック顔料自動車向け本格採用目指す 「モルフォ蝶」ヒントに独自開発

 東洋アルミニウム(本社・大阪市中央区、社長・山本博氏)は26日、大阪オフィスを置く御堂筋ダイワビル前で、干渉色金属フレーク顔料「クロマシャイン(CromaShine)」を塗装したフリーアナウンサー・酒井連子さんの愛車を披露した。クロマシャインの自動車への塗装は初めて。披露では今須聖雄東洋アルミニウム代表取締役会長が同席した。

 クロマシャインは金属光沢を持つモルフォ蝶をヒントに東洋アルミが10年がかりで開発した独自製品。アルミニウムフレークを基材にフレーク表層にシリカ層を被覆、更に金属粒子をメッキした全く新しいタイプのメタリック顔料。メッキ層からの反射光とアルミニウムフレークからの反射光の光路差により強い干渉色を表す。他の干渉顔料より隠ぺい力に優れ、インキ用に溶剤置換することも可能。

 クロマシャインを塗装した酒井さんの車の正面はターコイズグリーンに見える。角度をつけ斜めから見るとライトブルーに色が変化して見える。車体の側面と背面にはCromaShineのロゴと同社HPへのQRコードがデザインされている。

 酒井さんは「色調が変わるところが凄く綺麗で、気に入っている。車購入の際、懇意にして頂いている今須会長からこの話を聞き、飛びついた。乗り始めて1カ月だが、ガソリンスタンドなど人が集まるところでは注目され、質問されることも多い。父の車にもクロマシャイン塗装をお願いした」と話す。

 クロマシャインは上市後5~6年だが、これまで化粧品を中心に展開してきた。その他では衣料品へのプリントやアクリル絵具(ホルベイン工業製「イリデッセンス」)としても販売。クロマシャインを塗工した糸「ゆうさい(遊彩)」で織物を制作しドレスに仕立てパリコレで発表したこともある。

 今須会長は「クロマシャインは世界でも我々だけのオリジナル製品だ。日本画家・黒川雅子先生はクロマシャインで絵を描かれるし、私自身も製品PRを兼ねてクロマシャインを塗布した名刺を配っている。ただ、今後強化すべき分野はボリュームゾーンの自動車向けだ。2020年をめどに自動車でのクロマシャインの本格採用を目指している」と話した。

 自動車エンブレムでは既に採用が検討されている段階。自動車への本格採用は、10年保証など耐久性の向上を図れば十分に可能だという。樹脂に練り込めばパチンコ台部材などへの展開も可能だという。(白木 毅俊)

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