実績評価で現職が完勝 横浜市長選

 30日に投開票された横浜市長選。3選を果たした林文子氏(71)の陣営では、完勝を受けて支援者の歓喜の輪が広がった。一方、長島一由氏(50)と伊藤大貴氏(39)の2新人は現職への批判票を分け合う形となり、市民へ浸透しきれなかったことを悔やむ声も漏れた。林氏「生の声、新施策に」 投票が締め切られた午後8時、同市中区にある林氏の事務所に「当選確実」のニュース速報が流れると、集まった支援者から大歓声が上がった。拍手を受けて登場した林氏は「大変厳しい選挙戦だったが2期8年の評価をいただいた。大都市の課題をチャンスに変えていく都市経営に、この瞬間から意欲が出てきた」と満面の笑みを浮かべた。

 選挙戦では推薦した自民、公明党のほか、一部の民進党議員や地元経済界が日替わりで応援に入り、支援者回りや街頭演説に奔走。林氏は子育て政策や高齢者対策などを挙げ、「市政は一つや二つの争点で語れない。選挙中に届いた生の声が新しい政策への参考になった」と話した。

 3期目に向け、「国際都市としてダイナミックな経済政策に打って出たい」などと意欲を見せた。事務所には菅義偉官房長官も駆け付けた。「ベストを尽くした」長島氏、批判票分け合う形に 長島氏は午後9時半ごろ、桜木町駅前の街頭で、「ベストを尽くしたが、逆転に及ばず残念」と敗戦の弁を述べた。

 「カジノ誘致反対」を掲げ、3候補で最も早い1月に名乗りを上げた。だが、告示約1カ月前に公約の重なる民進党市議も出馬表明し、誘致反対や現職批判票をつかみきれなかった。

 政党や市民団体の後押しを受けない「完全無所属」をアピールし、逗子市長時代の実績も交えて情報公開促進なども訴えたが、浸透しきれなかった。「今後もカジノ誘致反対は訴え続けていきたい」と述べた。出遅れを挽回できず伊藤氏「候補として力不足」 伊藤氏は午後8時すぎ、同市青葉区の事務所で「ひとえに候補者として力不足。市議から10年間、思いを持って政治の世界で活動してきたことが選挙の中でもやれたが、それを374万市民に伝える難しさを感じた」と敗戦の弁を語った。擁立に動いた民進党の江田憲司代表代行はその場に姿を見せなかった。

 出馬表明は告示26日前。市議経験を踏まえて公教育充実や郊外再生などを訴え、江田氏ら一部の民進党議員と、共産党などで構成する市民団体などの後押しも受けたが、出遅れと知名度不足は挽回できなかった。

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