兼松・JFEの油井管合弁、北米にR&Dセンター 管用ネジの改良狙う、18年半ばに完工

 兼松は、北米での油井管加工事業で、JFEスチールとの合弁である「ベンワ・ホールディング」などを通じて所有するベンワ・プレミアム・スレッディング社(本社・米国ルイジアナ州、略称・BPT社」)の本社工場に研究開発(R&D)センターを新設することを決めた。間もなく着工予定で、2018年半ばの完成を予定。テクニカルセンターとも呼べる施設で、厳格なテスト(試験)などを通じて、油井管に使われるネジの改良などを進めたい考え。投資額は約3億円。将来、新たな試験設備などを導入する可能性もある。

兼松の油井管事業、2月から黒字化

 兼松の油井管事業は昨16年度、油価低迷などを受けて赤字だった。一時期より油価が回復し、リグカウントも950基程度まで増えてきたことで「シェールガス分野は完全に底打ちした」(郡司高志専務)。JFEとの合弁であるBPT社のネジ切り部門が一定の利益を確保できるようになったこともあり、油井管事業は2月から単月黒字化している。

 あとはコネクター部門(油井管をアジャストする特殊デザインの計測器やバルブなどアクセサリーを製造する部門)の業績回復が課題だ。

 BPT社は約35億円を投じてテキサス州に第2工場を建設する計画で、土地は取得済み。事業環境の悪化で着工を止めている状況にあり、今はテキサス州内で一時的に工場をレンタルして事業を展開中。「時期を見て着工したい」(郡司専務)考えは変わらない。

 第2工場が完成して2工場体制になれば(1)第1工場はオフショア向けに特化(2)第2工場はシェール向けに特化―と棲み分ける。オフショア向けには、JFEスチールの13クロムシームレス鋼管の輸出が主体となり、日本からの輸出拡販を図りたい考え。

 シェール向けにはカーボン鋼が中心となり、北米の現地メーカーからの購入が主体となる。

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