38歳子持ち。貯金1100万。服飾費と化粧品代が月5万円

38歳子持ち。貯金1100万。服飾費と化粧品代が月5万円

今後のお金の使い方と貯め方で悩んでいます

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、かかり過ぎの服飾代などで悩む30代の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者

空想上の動物さん(仮名)

女性/会社員/38歳

東京都/賃貸住宅

■家族構成

夫(会社員/38歳)、子ども(保育園/1歳)

■相談内容

育児休業中にお金を使いすぎてしまいました。また、服飾費がかかり過ぎていると思います。今後のお金の使い方と貯め方にアドバイスをいただきたいです。我が家では、生活費以外のお金(貯蓄や投資、小遣いなど)は夫婦でそれぞれ自己管理をしております。

夫は問題なく貯蓄ができているようですが、私は育休復帰後2カ月無給、ボーナス1回分なし、時短勤務で手取りが3万円減など、不安でたまりません。私の給与から生活費への拠出分8万円と投資分4万円を引くと、残り12万円。ここから昼食代やスマホ代、諸々の必要コストが消え、服飾費と化粧品には2万円しか使えないことになります。この金額に抑えることはおそらく不可能です。実際、服飾費と化粧品には平均月5万円程度は支出しています。正直なところ周囲の人たちと比べて特段いい服やいい化粧品を使っているわけでもなく、どうやって削減したらいいのかわかりません。

家計相談を見るのも大好きでよく見ていますが、同じような年収でこんなに服飾費を掛けている人が少なく、皆一体どういう工夫をしているのだろうと不思議になるばかりです。特にその辺りをご教示いただければ幸いです。

■家計収支データ

「空想上の動物」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足

(1)加入保険の内訳

[夫]

・定期保険(60歳まで、死亡保障1000万円、他に医療特約)=保険料2000円

・医療保険(入院1万円、がん一時金100万円、その他特約)=保険料2800円

・火災保険(家財1万円)=保険料1200円

[妻]

・共済保険(定期タイプ、60歳まで、死亡1000万円)=保険料2300円

・医療保険(入院5000円)=保険料1万5000円(※年払い)

・損害保険(定期タイプ、ケガ入院4000円、死亡470万円、他に自賠責保障)=保険料2万円(※2万円)

・歯の保険(治療費年間30万円まで保障)=保険料2万円(※年払い)

[子ども]

・医療共済保険(入院6000円、死亡保障300万円、他特約)=1000円

(2)ボーナスの使いみち

[夫]

投資信託の購入と趣味に支出(詳細は不明)

[妻](昨年)

奨学金返済資金50万円(今後この費用はなくなる)、産休予備費50万円、年払い保険料5万5000円、他に旅行費用、歯の治療費、生活費の補てん、被服代など

(3)小遣いの内訳

[夫/およそ10万円]

食費、交際費、趣味、スーツ代など

[妻/およそ10万円]

・昼食代2万円、生活用品1万円、自分のスマホ代6000円、書籍・教養費1万円、交際費1万円、被服・化粧品代1万5000円~5万円

(4)教育費の内訳と今後の進路

保育園費用(認可保育園)5万5000円、病児保育5000円(ただし月によっては2万円程度になることも)。今後の進路についてはまだ未定だが、中学から私立も可能性としては0ではないとのこと。

(5)家賃補助と夫所有のマンションについて

家賃は妻の転勤補助という形で2022年まで。その後は13万円になる予定。また、転勤前に夫婦で住んでいた夫所有のマンションがあり、現在賃貸に出している。住宅ローンや税金などのコストを差し引いて、年間収支プラス10万円ほど。場合によっては家賃補助がなくなるタイミングでマンションの売却、再購入も検討するかもしれない。また、将来的に実家に戻ることはないとのこと。ちなみにマンションのローン内容は以下のとおり。

購入2010年2月/購入時の築年数6年/ローン残高2500万円

返済期間35年返済/変動0.875%/毎月の返済額8万2000円ほど

(6)被服費のコストが多い理由

服はリサイクルショップで程度も良いものを探すようにしていが、体型がきわめてレアなため、中古やファストファッションでは入手しにくいのが現状。靴もサイズがなく特定のブランドでのものしか履けない。体温調節が苦手な体質のため、タイツや靴下が常時必要となるのが、これも安価だと合うものがない。ただ、この4~6月は最大限着回しなどして、平均1万5000円に抑えることができた。

(6)妻の収入

フルタイム勤務となった場合、給与27万円、ボーナス年間170万円(手取り)となる予定。

(7)第2子について

未定。もし希望する場合、来年妊娠、再来年出産を予定。売却の場合は再購入前提になると思います。実家に入る予定は有りません。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス

アドバイス1 中学から私立なら1300万円アップ

アドバイス2 6年後のマンション購入は何であれ重い負担

アドバイス3 他人と比較せず、他の支出を削る工夫を

アドバイス1 中学から私立なら1300万円アップ

まず、どう節約するかの前に、今後どのくらい資金が必要になってくるかを整理してみましょう。

まず、教育費ですが一般的な考え方として、高校まで公立なら計画的に用意すべきは大学費用。かかる学費は私立文系で380万円、理系で520万円が大体の目安です。児童手当は支給される15歳まで全額貯めれば約200万円。仮に理系に進むとして、月1万4000円を別途積み立てれば、18年間で不足分の300万円は用意できる計算になります。

ただし、中学から私立となると話は別。私立中学3年間の総学習費(学校外教育費も含む)の平均が402万円、私立高校が297万円(平成26年度/総務省「子供の学習費調査」)。これは公立のそれぞれ2.8倍、2.4倍です。もしも、お子さんが中学から私立ならさらに700万円が必要となります。また、おそらく相談者の世帯は収入が高いので、「高校授業料無償化」制度の対象外(年収910万円程度以上)となります。

中学受験となると、多くの場合、小学校から進学塾に通います。この費用も少なくとも100万円程度見ておきたいので、教育費だけで1300万円くらい用意しておくことになります。そうなると、先の積立額は毎月約5万円、お子さんが2人なら10万円が最大で必要となるということになります。

アドバイス2 6年後のマンション購入は何であれ重い負担

住宅資金については、どのタイミングで購入するかによります。文面から推測すれば、ご主人所有のマンションは都内ではなく遠方にあるため、仕事を辞めない限り、そこに移り住むことはできないということでしょうか。

だとすれば、相談者が言われるように、家賃補助が切れる6年後はひとつの機会にはなるでしょう。ただし、今あるマンションを売却して、新たに移り住むためのマンション購入となれは、それなりのコストは覚悟すべきです。

まず、所有のマンションですが6年後ではまだローン残高は2000万円ほど。その時点で築18年ですから、立地や間取り等は不明ですが、高く売れてもローンと相殺。それどころか、ローンが残る可能性も少なくありません。

また、その時点でご主人44歳ですから、住宅ローンは長くても20年、できれば15年程度にしておきたい。そして問題は、先のローンが残ることも想定しながら、無理のない返済額にしなくてはいけないということ。

仮に2000万円を20年返済、金利1.5%の固定で借りて毎月の返済は9万6000円。さらに管理費、駐車場代、固定資産税のランニングコストがかかりますから、実際の住宅コスト少なくとも月13万円となり家賃補助が切れた後の家賃程度と考えておくべき。

購入できる物件価格は、それにどれだけ頭金+諸経費を用意できるかで割り出せます。23区内の新築のファミリー物件であれば4000万円台半ば。つまりは、最低2500万円は用意しておかないときびしいと思います。程度のいい中古物件、もしくは都下、他県と範囲を広げて、3000万円台前半の物件にすれば、1500万円程度の住宅資金で6年後に購入できることになります。貯蓄から500万円を出すとすると、6年間で残り1000万円貯める必要があります。

最後に老後資金について。夫婦とも厚生年金加入で、退職金も収入から考えてそれなりの額は手にできそうです。であれば、住宅ローンさえ完済し、(共に)65歳まではしっかり働けば、資金的には何とかなりそうです。

ただし、どちらにせよ、優先順位を考えれば、教育資金、次に住宅資金。老後資金は、可能であれば貯蓄をしていくといった程度の意識で今はいいと思います。

アドバイス3 他人と比較せず、他の支出を削る工夫を

とは言え、お子さんの人数も進路も未定ですし、住宅もどうなるかわかりません。それでも6年後の住宅資金と教育資金づくり(とりあえず高校まで公立、大学私立文系)として、現時点で月15万円、年間180万円程度は貯めておきたいところ。

では、今の家計はどうなっているのか。ご主人のボーナスからの貯蓄分が不明ですが、それを考慮しなければ投資も含め夫婦で月8万円のペース。つまりは、これを倍にアップするということです。

さて、ご相談者が服飾費や化粧品代が世間一般より多く、いろいろ試してもなかなか改善されず、悩んでいるとのこと。私は女性ではないので、着回しや化粧品については詳しくありませんが、体質や体型によりどうしてもコスト高になるというなら、そこは過度に気にしなくてもいいのではないでしょうか。

それがご相談者にとっての必要経費と考えれば、もちろん下げる工夫はすべきでしょうが、他人と比較する必要はありません。貯蓄ペースを上げるのなら、他の支出に目を向ける。要は貯蓄できればいいのですから、下げられる費目から着手する。これは家計管理の常套手段です。

では何が下げられるか。これは当事者であるご夫婦が考え、決めることですが、たとえば、食費8万円は下げられるのでは。少なくとも奥様が安い服を探して四苦八苦するよりは簡単で、精神的にもラクなはずです。

ご夫婦の小遣い20万円も、見直しの余地がありそうです。服飾費を削らないのですから、交際費やレジャー費はある程度我慢すべき対象となるでしょう。場合によってはクルマを手放すといった選択肢もあるはずです。

また、この際、ご主人のボーナスからの貯蓄ペースは確認しておくべき。そして、ご主人にも趣味は抑え気味にして、貯蓄ペースをあげてもらう。貯蓄は一人頑張っても空回りするだけ。家族の協力、一致団結が不可欠なのです。加えて言うなら、家計のボーナス依存は極力抑えるべき。なるべく毎月の収入から貯蓄できるようにしましょう。

その貯め方ですが、教育資金と住宅資金についてはやはり元本保証が基本。とくにFXはリスクが高過ぎます。どうしても投資をというのであれば、確定拠出年金として月1~2万円程度を回す。拠出した全額が所得控除され、運用益にも税金がかからないなど、メリットは大きい。60歳以降でなくては下ろせないのですが、老後資金と割り切って積み立てればいいでしょう。

「空想上の動物さん」より寄せられた感想

WEBでいつも見ている深野先生のアドバイスを受けることができて本当に良かったです。ありがとうございます。「他人と比較しても仕方がない」という部分に安心しました。自分たちに合った方法で家計を見直していこうと思います。

また、子供の学費とマンション再購入の場合にいくら必要でその為に毎月いくら貯蓄をすべきかをクリアにしていただいたので、非常に気持ちがすっきりしました。闇雲に足りないなあと感じて不安なまま貯蓄をするのと、何の為にいくらいつまでに貯めようと思うのでは例え後者の方が節約を強いられたとしてもストレスにならないものなんだな、と感じました。

教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

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(文:あるじゃん 編集部)

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