<隠れた名盤> テツandトモ『20周年で、なんでだろう』 楽しい曲+シリアス路線も。二人のハーモニーが良い

テツandトモ『20周年で、なんでだろう』

 活動20周年記念CD。“なんでだろう”の人とスルーするにはあまりに勿体ない力作。

 全11曲中5曲がコミックまたはキッズソングで、確かにこの部分は、彼らのパブリック・イメージ通りでガヤガヤと楽しい。新曲『なんでだろう20連発!!』など小学生が喜びそうなネタの宝庫だろう。

 ただし、更なる聴きどころは、2014年の『桜前線』以降のシングルと、『あずさ2号』のカバー、さらにボーナス曲の『立川談志 作詞楽曲』といったシリアス路線の6曲だ。

 シングル4曲は、いずれも浜圭介作曲の歌謡曲。新橋を舞台とした『ほろ酔いブルース』は五木ひろし風の温かい楽曲で、一途に愛を貫く『泥の中の蛍』は西城秀樹風の熱血バラード。高音が明るく響くテツと、感情をためて熱唱するトモ、何より二人のハーモニーが人間くさくて良い。

 そんな2部構成ゆえ、親子2世代でシェアすれば、十分もとが取れそうだ。本作を聴けば、バカ騒ぎできる周りの人から逆境の乗り越え方を教わりたくなるはず。

(ワーナー・1852円+税)=臼井孝

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