横森製作所、シンガポールに鉄骨階段工場 伊藤忠丸紅鉄鋼、現地ファブと合弁

 鉄骨階段メーカー最大手の横森製作所(本社・東京都渋谷区、社長・有明利昭氏)は、シンガポール西部のトゥアス・アベニューに伊藤忠丸紅鉄鋼と現地ファブリケーターと合弁で製造会社「ヨコモリ・シンガポール」を設立した。来年4月ごろの本格稼働を目指し、初年度は1千トンの生産を目指す。

来春稼働、需要増に対応

 横森は建設現場での省人化が進む同国で、短納期・省力化で利点のある鉄骨階段の需要が高まると判断。現地生産に踏み出す。

 合弁会社の資本金は370万シンガポールドル(約3億円)。出資比率は横森が60%、伊藤忠丸紅鉄鋼が10%、現地ファブのヘタット(HETAT)が30%。横森の森隆祥常務が社長に就く。

 3社は7月25日にヘタットの親会社SHSホールディングスで調印式を開催。有明社長と伊藤忠丸紅鉄鋼の清水豊・執行役員鋼材第一本部長、SHSのヘンリー・ハンコックCEOが出席し、契約文書を交わした。

 横森は5年前からシンガポール市場に着目し、2016年3月にはいわき工場(福島県いわき市)が同国の公的機関から鉄骨製作S2クラス(日本のHグレード相当)認定を取得。輸出した鉄骨階段を現地で組み立て、病院とオフィスビル向けに計360トン出荷している。

 今後はトゥアスにあるヘタットの新築工場の一部(約2万平方メートル)を借り受け、年内にはプラズマ切断機や穴あけ機、曲げ加工機を設置する。生産能力は年間1千~2千トン。設計や製作・加工まで一貫して担い、現地の専属従業員5人やヘタットと協力しながら階段製作に乗り出す。

 森常務は「現地は鉄筋コンクリート造(RC造)が主流で、鉄骨階段は未開拓。現場作業が少ない利点を生かして非常階段など部材での売り込みを進め、建設が進む地下鉄工事現場でも採用も狙いたい」と市場の有望性を語る。将来的にはマレーシアやベトナムへの輸出も視野に入れる。

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