大阪桐蔭の春夏連覇を阻むのは? 関東勢に旋風の予感 どうなる夏の甲子園

第99回夏の甲子園が8月7日に開幕する。1日に宮城・仙台育英が出場を決め、全49代表校が出そろった。常連校や全国制覇経験校、初出場6校など、特色のある学校が並び、甲子園練習がスタートした。

激闘必至、頂点をかけた熱戦の行方は?

 第99回夏の甲子園が8月7日に開幕する。1日に宮城・仙台育英が出場を決め、全49代表校が出そろった。常連校や全国制覇経験校、初出場6校など、特色のある学校が並び、甲子園練習がスタートした。

 果たして優勝旗はどの学校に渡るのか。評判が高く、戦力が整っているのはやはり選抜Vの大阪・大阪桐蔭。同校は史上初となる2回目(前回は2012年)の春夏連覇を目指す。投手、野手ともにタレント揃い。大阪大会の準決勝では選抜決勝の再現となった履正社に勝利。決勝では勢いに乗る公立・大冠と接戦となり、10-8と厳しい試合をものにした。その実力を疑う者はいないだろう。

 そして、3季連続のベスト4の熊本・秀岳館も大阪桐蔭に負けない戦力がある。田浦文丸、川端健斗の両左腕は甲子園経験も豊富で140キロ後半を投げる。打線も強力で悲願の日本一を視界にとらえている。

 ともに“特Aクラス”の優勝候補筆頭ではあるが、99回の歴史の中で、2度目の春夏連覇を成し遂げた学校はない。熊本県勢の夏優勝もない。歴史は塗り替えられるのか――。今年の選抜はベスト4に大阪2校、兵庫、熊本と“西高東低”の構図だったが、今夏は「東」、特に関東の学校が、旋風を巻き起こす予感が漂う。

 群馬・前橋育英、栃木・作新学院、埼玉・花咲徳栄には“特Aクラス”を倒すだけの総合力はあると見る。

140キロカルテットで頂点を狙う前橋育英、夏連覇がかかる作新学院

 前橋育英は140キロカルテットで2013年以来の夏の頂点を狙う。エースナンバーの右腕・皆川喬涼は150キロ近いストレートを投げ込む。皆川だけでなく、丸山和郁、吉澤悠、根岸崇裕の投手力は全国トップクラス。作新学院は史上7校目の夏の連覇を目指す。昨夏はベンチから外れた左腕・エースの大関秀太郎を中心に篠原聖弥、高山陽成らの投手力が安定。打線では3番の鈴木萌斗が地方大会で打率.565と打ちまくった。石戸智也、添田真聖の二遊間を中心とした守備力も高く、今年も上位を狙えるチームに仕上がった。

 花咲徳栄は投打のバランスが取れたチームで上位候補。昨年の甲子園も経験しているエースの149キロの速球右腕・清水達也と制球力のある綱脇慧の継投で埼玉大会を勝ち上がった。決勝の関東王者・浦和学院戦では綱脇、清水のリレーで5-2で勝利。2回戦からの7試合すべて2失点以内で勝利している。打線もつながりがあり強力。プロ注目の3番・西川愛也は埼玉大会打率5割。2年生4番の野村佑希もパンチ力がある。

 関東の強豪は他にもいる。

 激戦区・神奈川を勝ち抜いた横浜も侮れない。1年から3年まで能力の高い選手が揃う。4番の中堅手・増田珠は神奈川大会史上初の4戦連発の5本塁打の偉業を達成。今夏の甲子園で最も注目のバッターだ。コンゴ人の父と日本人の母を持つ万波中正は投手もでき、規格外のパワーを持つ。捕手で主将の福永奨もドラフト候補。2年生エース左腕の板川佳矢は中学時代、NOMOジャパンのメンバーだ。昨年のU-15日本代表のエースだった及川雅貴も1年生ながらメンバー入り。他にも有力な1年生が多くおり、甲子園デビューもありそうだ。

東海大菅生は投打ともに強力、二松学舎大付打線も破壊力抜群

 2年連続の出場となった千葉・木更津総合。昨年は絶対的エースだった早川隆久投手の活躍があった。その時、一塁を守っていた山下輝がエースナンバーを引き継いだ。秋の千葉大会で早々に敗れた悔しさをバネに夏は4回戦から決勝の5試合を一人で投げ抜いた。昨年の春夏甲子園を経験している峯村貴希は主将としてチームを牽引。3番・遊撃の中心選手。二塁手の1年生セカンド・小池柊稀は昨夏の同校主将で、U-18日本代表メンバーだった小池航貴の弟。背番号4を引き継ぎ、兄弟で甲子園の舞台に。上位を打つ細田悠希も含め、昨年の春夏甲子園の8強を知る男たちの経験は大きい。

 西東京代表の東海大菅生は準々決勝で日大三、決勝で早稲田実を撃破。選抜出場校を倒したチームは投打ともに強力だ。背番号11ながら決勝戦を完投した松本健吾はエースナンバーに返り咲いた。4番の2年生・片山昂星も地方大会打率5割の強打者。遊撃の田中幹也と主将の二塁・小玉佳吾の二遊間は鉄壁だ。

 また東東京の二松学舎大付も打撃力は破壊力がある。6試合でチーム打率は.435。1番から9番まで抜け目のない打線は全国屈指と言っていい。エースの市川睦は変化球のコントロールが良く、安定感がある。今年は東京の2校も上位に食い込む可能性は十分にある。

 山梨・山梨学院は2年連続の出場。昨夏の甲子園を経験した選手も多い。吉田洸二監督は2009年の選抜で長崎・清峰を率いて全国制覇を成し遂げている。茨城・土浦日大は1986年以来、31年ぶりの出場となる。同校の小菅勲監督は1984年に清原、桑田のいたPL学園を撃破し優勝した取手二の優勝メンバー。04年夏には下妻二の監督として甲子園に出場し、昨年から同校を率いて甲子園に導いた実力派。それぞれの采配も楽しみだ。関東に限らず、「東」でいえば、3季連続の岩手・盛岡大付も選抜の8強超えを狙える位置にいる。高校通算60本塁打の植田拓の打撃は見ものだ。

 その他、全国を見渡せば愛知・中京大中京、兵庫・神戸国際大付、広島・広陵、高知・明徳義塾、大分・明豊、沖縄・興南のチーム力は高い。各地に優勝経験のある高校が待ち構えるが、今年の選抜で8強に1チーム(群馬・健大高崎)しか残らなかった関東の学校も巻き返すだけの有力校が出そろった。その躍進に注目したい。(Full-Count編集部)

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