歴史的建物シェアハウスに

 長崎市の市民団体が、同市東山手地区で「伝統的建造物」に特定されている木造空き家を、女性限定のシェアハウスに生まれ変わらせようとしている。市文化財課は「歴史的な建造物の空き家の活用方法としては市内では珍しい」と行方に注目している。8月中旬にオープンする予定。

 市内で空き家が増えていることから、まちづくりを考える市民団体「長崎都市・景観研究所/null(ヌル)」が対応を模索していると、5月にこの物件を見つけた。

 東山手地区は1991年、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。洋風住宅が立ち並び、石畳や大きな樹木など居留地の雰囲気が今も残っている。

 その一角のオランダ坂通りにある、この物件は明治時代に建築された2階建て木造住宅。一見して和風だが、かつては外国人が住む洋風住宅だった。明治後期に撮影された写真には、煙突のある洋風のころが写っている。

 管理人の竹市孝さん(61)によると、幕末から明治にかけ長崎で活躍した英国人実業家フレデリック・リンガーの家政婦らが住むようになって、日本人向けに改装されたらしい。外壁にはトタンを張り、居室を畳敷きにするなど増改築。近年は住宅やギャラリーとして利用され、昨年12月から空き家になっていた。

 同団体は、住人に当時の居留地の雰囲気を感じてもらおうと内装を洋風に戻す作業中。壁を白く塗り、アンティーク調の家具をそろえる。2階は女性2人が共同生活し、1階は地域住民と交流するスペースにする。ゆくゆくは市の許可を得て外観も改装し、洋館として再生したい考え。

 韓国人留学生と暮らすことになった公務員の女性(31)は「楽しみ。若い人たちに空き家問題に関心を持ってもらえるよう、実際に住めることを発信したい」と話した。同団体メンバーの平山広孝さん(32)は「当時の居留地のように県内外の人々が交流できる場にしたい」と意気込んでいる。

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