【新社長インタビュー】〈アマテイ・藪内茂行氏〉販売増狙い、提案型営業強化 高付加価値製品に注力

――抱負を。

 「釘の国内需要はシュリンクしており厳しい環境にあるが、販売量を増やすことにこだわる。そのためにも、シェア・顧客を増やす。現在、国内生産品と海外OEM生産品を合わせた販売量は月1500トンで、将来的には国内生産品の比率を増やし、差別化を図りながら月2千トンを目指す」

アマテイ・藪内社長

――そのための具体案は。

 「地道にユーザーの元へ通い、情報・需要を掘り起こす。そしてユーザーのニーズをベースに、付加価値の高い商品を開発する。当社は100年以上続く釘のトップメーカーで、蓄積された知識や技術と、経験豊富なベテラン社員とフレッシュな若手社員がいることが強みだ。歴史ある〝アマテイブランド″を生かし、提案型営業の強化を図る」

 「また、既存商品である2×4ハウスメーカー向け『木割れ最強釘』、鉄と板をとめる『鋼板用釘』などの認知度は向上しており、一層の拡販に努める」

――弱電・OA機器などの精密ネジを製造する子会社のナテックの課題と戦略については。

 「3年前に4段と7段のパーツフォーマーを1台ずつ導入して、主に自動車向けパーツの製造を開始した。こちらも認知度が向上しており、今後も生産量を伸ばす。パーツフォーマー導入後、ナテックの自動車向けの売上高比率は約60%に上昇。厳しい状況が続いてたが、底は脱した」

 「自動車向けの新商品は認証などに時間がかかる。ランニングチェンジなどを考慮しながら中長期的な経営戦略を立案する」

――藪内社長は丸紅時代などで自動車鋼材部門の経験があります。

 「丸紅を含め20年以上自動車関連の部門に在籍した。その人脈や経験を生かし、ナテックの新規顧客の創造と拡販を目指す」

 「商社時代が長かったが、設立から携わったコイルセンターの広州紅忠汽車鋼材部件は、メーカーとして商社と違った面白さがあった。その経験を生かし、メーカーとして生産量・販売量・ユーザー数を増やしながらアマテイという会社のブランド価値向上を目指していきたい」

――グループでの設備投資関連については。

 「秋元前社長が、コスト削減など生産効率向上のための設備投資を3年かけて確立した。その生産基盤を引き継ぎながら現有設備の稼働率を上げることが当面の目標だ。足元、大きな設備投資計画はないが、適宜設備の改造などを行い、最適な生産体制を整える」

――17年4~6月期連結決算は売上高13億900万円、経常利益3900万円の増収増益となりました。これを踏まえて足元の状況は。

 「仮需があったものの、足元は少しトーンダウンしてきたがまずまずの状況。当社は下期型だが、鋼材価格や海外市況など先行きは不透明。また今年の住宅着工戸数は前年比減の92・3万戸で、釘の絶対量は減るだろう。国内外問わず価格と需給バランスに注視する必要がある」

――今後について。

 「200年以上続く〝愛される会社″にするために、企業体質を一層強化する。そのためにもグループ会社を含めて約180人いる社員が一丸となり、アンテナを高く張って営業力強化と釘を中心に幅広い高品質製品の開発・拡販・取り扱いなどに努める」(綾部 翔悟)

プロフィール

 丸紅、伊藤忠丸紅鉄鋼、広州紅忠汽車鋼材部件で自動車鋼材畑を渡り歩いた。出身地である兵庫県へ大学卒業ぶりに戻り、気合い十分。性格は、ひたむきに物事に取り組む情熱あふれるタイプだ。最近、好ましく思う言葉は「着眼大局着手小局」。趣味は書店巡りとゴルフで、「挨拶回りがひと段落したらゴルフを再開したい」と話す。高校・大学時代は軟式テニス部に所属。

 藪内 茂行氏(やぶうち・しげゆき)80年(昭55)神戸大学経済学部卒、丸紅入社。04年広州紅忠汽車鋼材部件董事兼総経理、12年伊藤忠丸紅鉄鋼執行役員鋼材第三本部長、15年紅忠スチール社長、17年4月顧問、17年6月現職。56年(昭31)8月4日生まれ、61歳。兵庫県宝塚市出身。

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