ソロモンのニッケル探鉱プロ、住友金属鉱山が撤退 国際入札鉱区、権利回復ならず

 住友金属鉱山は8日、ソロモン諸島国で子会社SMMソロモン社を通じて進めてきたニッケル探鉱プロジェクトから撤退すると発表した。同国イサベル州の国際入札鉱区に関する訴訟で権利回復が認められなかったことに加え、ニッケル価格の低迷や探鉱結果などを含めて総合的に検討した結果、同社が目指してきたプロジェクトの推進が困難と判断した。SMMソロモン社は申請中の全ての採掘権の出願を取り下げるとともに、撤退に伴う残存業務を除き、今後の活動を停止する。今後は引き続きフィリピンやインドネシアなどで新たなニッケル鉱源の確保を図る方針。

 同社は、同国のイサベル州およびチョイスル州の鉱区(自社鉱区)において、2005年から鉱区取得・探鉱活動を開始、14年までに探鉱活動を完了し、3つの鉱区の採掘権を申請した。一方、イサベル州の国際入札鉱区に関しては同社への落札などが一方的に取り消されたため、豪州探鉱会社アクショム社子会社のアクショムKB社などを相手とした訴訟を提起していた。だが、11年7月の提起から17年3月の最終確定まで6年を要したものの、SMMソロモン社およびアクショム社のいずれの権利も認められないまま終了となった。

 この間、ニッケル価格が低迷し、今後も厳しい市況が続くとの見方もあるなど事業環境が大きく変化したことに加え、今回の確定判決、探鉱結果などを総合的に検討した結果、同社が目指してきた自社鉱区と国際入札鉱区を併せたプロジェクトの推進が困難であるとの結論に至り、ソロモン探鉱プロジェクトからの撤退を決定した。

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