【関東の鉄スクラップ輸出入札、電炉買値上回る高値落札】8月契約、3万1606円で2.5万トン 市況の押し上げ材料に

 関東地区の鉄スクラップヤード業者で構成する関東鉄源協同組合(理事長・山下雄平ヤマシタ社長)は9日、8月契約の鉄スクラップ輸出入札を行い、平均3万1606円(H2、FAS)で合計2万5千トンを落札した。前月比では3571円の上昇。3カ月連続で前月を上回った。3万円台の落札は今年3月契約(平均3万1168円)以来5カ月ぶり。海外市況の先高観が反映され、価格水準としては2014年9月契約(平均3万3825円)以来、2年11カ月ぶりの高値。落札価格は足元の電炉メーカー買値を大きく上回っており、国内市況を押し上げる材料となりそうだ。

 今回は応札15商社のうち1社が辞退し、14社が合計28件を応札した。合計の応札量は23万1千トンで前月比8万3千トン増加。応札数量は16年10月契約の21万5千トンを上回り、過去最高を更新した。

 入札の結果、3万1610円(1万5千トン)と3万1600円(1万トン)の2件を落札した。向け先はともにベトナム。船積み期限は9月30日。落札された2番札は1万トンだったが、同じ商社が同値で1万5千トンと2万トン、2万5千トンの札も入れていた。同組合では契約残や夏場の発生低調を考慮して、落札量を合計2万5千トンに抑えた。また、応札の上位8件までが3万1千円以上の札だった。応札全体の平均価格は3万940円。

 米国のトルコ向け輸出(HMS1&2)はCFR341ドルに上伸。韓国・現代製鉄は8日、日本産スクラップに対するビッド(買値)をH2=FOB3万1千円と前回比1500円引き上げた。こうした動きを受け、日本のスクラップ輸出の先高観は鮮明。

 関東地区電炉メーカーの鉄スクラップ実勢購入価格(H2)は9日時点で2万8500~9500円どころ。同日時点で湾岸価格(同)は2万9500円に切り上がり、一部高値は3万円を付けたもよう。今回の落札価格はこれらを大幅に上回っている。

 同組合の契約残は前月落札分の2万トンに今回落札分の2万5千トンが加わり、足元で合計4万5千トンとなった。次回の船積みは来週18~22日で5千トンが予定されている。

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