ソフトバンクの強さを支える堅守、12球団最少失策数でNPB新記録更新も

2017年のプロ野球も8月に入り、終盤戦へと差し掛かってきた。パ・リーグは楽天とソフトバンクがデッドヒートを演じ、目まぐるしく首位が入れ替わる展開となっている。2013年以来の優勝を狙う楽天か、V奪還を狙うソフトバンクか。激しい攻防は、まだしばらく続きそうな様相である。

ソフトバンク・松田宣浩【写真:荒川祐史】

投打に隠れたもう1つの強さ、12球団屈指の守備力

 2017年のプロ野球も8月に入り、終盤戦へと差し掛かってきた。パ・リーグは楽天とソフトバンクがデッドヒートを演じ、目まぐるしく首位が入れ替わる展開となっている。2013年以来の優勝を狙う楽天か、V奪還を狙うソフトバンクか。激しい攻防は、まだしばらく続きそうな様相である。

 そのソフトバンクは12日の日本ハム戦(ヤフオクD)に1-0で勝利。虎の子の1点を守り抜く試合を戦った。この試合は、先発の千賀が7回無失点と好投したこともあるが、バックが好守で盛り立てた側面もある。

 5回には1死から左翼・中村晃が前方への鋭いライナーをスライディングキャッチし、その直後には中堅・柳田が左中間への飛球に猛然とダッシュし、ランニングキャッチ。9回にも二塁・高田が二遊間への当たりを上手く処理してアウトにした。

 野手陣の相次ぐ好守もあっての快勝に、工藤公康監督も「今日は守りで勝った試合。みんなに1点を守ろうという意識があるし、投手も野手もしっかり守ってくれている」と目を細めていた。

 他球団を凌駕する選手層を誇るソフトバンク。切れ目のない打線は強力だし、サファテを中心したリリーフ陣は鉄壁だ。怪我人が相次いだ先発陣も、次々と新戦力が台頭し、その穴を埋めてきた。投打に力の高さがあるが、ソフトバンクの強さとして、チーム全体の守備力が12球団で、ずば抜けていることを忘れてはいけない。

NPB記録は1991年西武の38失策

 今季の失策数は104試合を消化して、たった30個。パ・リーグ2位の楽天は96試合で45個、セ・リーグトップは中日で46個。ご覧になれば分かるように、12球団でダントツの少なさである。チーム内で最も多いのは4年連続5度のゴールデングラブ賞を獲得している松田宣浩の8個、それに続くのは、守備の名手で4年連続同賞を受賞している今宮健太の4個となっている。

 現在わずか30個の失策数だが、実は、今季のソフトバンクは、あるプロ野球記録を更新する可能性を十二分に秘めている。104試合で30失策ということは、シーズン41.25失策ペースとなる。これまでのプロ野球の歴史の中で、シーズン最少失策は、工藤公康監督も在籍して日本一にも輝いた1991年の西武がマークしている。その数は38失策だった。

 その当時の130試合に換算すれば、今季のソフトバンクは37.5失策ペース。伊東勤(現ロッテ監督)、辻発彦(現西武監督)、秋山幸二(前ソフトバンク監督)ら守備の名手を擁していた西武に匹敵する数字となる。1991年より13試合多くなっているとはいえ、この記録の更新は十分に可能な範囲だ。

 ちなみに、ソフトバンクは2016年も、2015年もパ・リーグでは最も少ない失策数だった。失策数だけに限らず、試合を見ているとソフトバンクの野手陣の球際の強さや打球判断の良さがよく分かる。打者や投手が注目されがちではあるが、ソフトバンクの安定した強さの秘密は、こうした守備力にも隠されている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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