関根貴大が移籍したFCインゴルシュタットってどんなチーム?

FCインゴルシュタット04は13日正式に関根貴大と契約したことを発表した。同チームは、2016-17シーズンまではドイツ・ブンデスリーガに所属していたが17位(8勝8分18敗)で降格の憂き目にあい、今季はブンデスリーガ2部でプレーする。

Jリーグで活躍しドイツへ渡るというルートは日本代表のエリートコースにもなっているが、インゴルシュタットとはどんなクラブなのだろうか?

バイエルン・ミュンヘンの“ご近所さん”

ドイツではかつての読売巨人軍のような存在だったバイエルン・ミュンヘン。チームのファン及びアンチが多い中、比較的仲が良いのが同じバイエルン州にあるFCインゴルシュタットだ。

バイエルン・ミュンヘンの公式サイトによれば「ミュンヘン市内のゼーベナー通りからインゴルシュタットのアウディ・スポーツパークまではたったの84kmしかない」と比較的ご近所さんのチームである。

2016年12月には首位RBライプツィヒを破ったインゴルシュタットに対して、バイエルンのカール=ハインツ・ルンメニゲ会長が「お礼にソーセージを送ろう!」と語り「素晴らしい隣人」と同チームを称えた。

インゴルシュタットはバイエルン・ミュンヘンとは4度対戦しているがすべてバイエルンが勝利しており、ブンデスリーガで決めた7得点のうち4得点はロベルト・レヴァンドフスキによるものである。そういった意味でもバイエルンのお客様になってしまっている。

アウディのお膝元

ドナウ川沿いにあるインゴルシュタットの街は自動車メーカー『アウディ』のお膝元であり、地元経済は同社を中心に回っている。人口は増加傾向にあり2015年度にはおよそ13万人とドイツの中では比較的大きな都市へと成長している。

インゴルシュタットはMTVインゴルシュタットとESVインゴルシュタットが合併して2004年に誕生。すぐにドイツ3部へ昇格すると、2014-15シーズンにブンデスリーガ2部で優勝し1部初昇格。2015-16、2016-17シーズンと2シーズンに渡りブンデスリーガでプレーした。僅か10年で地域リーグから1部まで急成長してきたクラブといえるだろう。

現在はスタジアム名にもなっているアウディのほか日本企業の住友ゴム工業のブランドFALKENがサポートをしており、インゴルシュタットの街にはファルケン通りという道もある。

アウディ・スポーツパーク

2010年にオープンしたアウディ・スポーツパーク(アウディ・スポルトパルク)は収容人数15,800人、おらが街の自慢のスタジアムだ。

要塞

インゴルシュタットの愛称は“ダイ・シャンツァー(Die Schanzer)”。「堡塁(敵の攻撃を防ぐため土砂・コンクリートなどで造られた構築物)を構築するもの」という意味だ。

同都市は19世紀には要塞都市になりスウェーデン軍の包囲にも陥落しなかったことで知られている。現在も要塞としての名残を残す分厚い囲壁を旧市街に見ることができる。

公式のYoutubeチャンネルなどもチーム名ではなくこの愛称で登録されているほか、公式マスコットのドラゴンの名前も「シャンツィ」だ。

シャンツィ

写真中央がシャンツィ。胸スポンサーはインゴルシュタットに本社を構える家電量販チェーン店「メディア・マルクト」だ。

フランケンシュタイン

要塞都市となる前のインゴルシュタットは1472年から1800年までインゴルシュタット大学があったことで知られている。

1800年にインゴルシュタット大学はランツフートへ移り、1826年にはミュンヘンへ移りルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンへと改名した。

メアリー・シェリーによる小説『フランケンシュタイン』では、ヴィクター・フランケンシュタインはインゴルシュタット大へ留学し解剖学と生理学を専攻した設定となっている。

2015年のハロウィンにはクラブはフランケンシュタインを模したミステリーツアーを開催し人気を博した。

渡辺凌磨

インゴルシュタットには関根ともう1人日本人が在籍している、渡辺凌磨だ。

2013年のU-17ワールドカップでもプレーした渡辺は前橋育英高校から2015年に早稲田大に進学。すぐにNIKEが主催する「NIKE MOST WANTED」に参加し、日本人で初めてナイキアカデミーへ参加した。同年9月よりインゴルシュタットのU-23チームでプレーしていた。

渡辺凌磨

今季、トップチームに昇格した渡辺は背番号23を付ける予定で、22番の関根と共に活躍を期待したい。

関根に期待されるもの

気になるインゴルシュタットにおける関根の役割だがずばり攻撃面で得点、アシスト両面が求められるだろう。

というのも、現在ブンデスリーガ2部でも2敗と状況が良くないインゴルシュタット、あげた得点は0なのだ。

もともと攻撃面を得意とするチームではなく昨シーズンもチーム得点王はイスラエル代表MFアルモグ・コーエンの7得点、彼はセンターハーフや守備的MFの選手であり「好きな選手はジェンナーロ・ガットゥーゾ」と語る。そう、イスラエル代表ではまだ得点がない選手でストライカーではない。

2015-16シーズンに背番号「9」を背負うモリッツ・ハルトマンがブンデスリーガで12得点をあげたが昨シーズンは1得点、元々2部時代から1人のストライカーに頼るチーム構成ではなかったが、ブンデスリーガ時代もその印象は変わらなかった。

公式サイトでは「スピード、ドリブル」といった単語で関根の強みを紹介しているが、彼にかかる期待は非常に大きい。

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