関東地区電炉の鉄筋棒鋼販価、盆明け6万円超に 鉄スクラップ急伸、コスト高目白押し

 関東地区の電炉小棒メーカーが盆明けにも鉄筋棒鋼の販売価格をトン6万円超に引き上げる構えだ。主原料である鉄スクラップ価格が足元で急伸し、依然として先高観が根強い。電極や耐火物など資材の高騰に加え、電気料金、輸送費など幅広いコストで上昇が不可避となっている。アジア市況の好調で半製品ビレットや鉄筋棒鋼の輸出メリットが強まる中、秋口からは東京五輪関連など国内需要の増加も期待される。下期に再生産可能な適正利益を確保するには、販価6万円超の早期実現が急務として各社とも危機感を強めている。

採算確保に強い〝危機感〟

 関東小棒メーカーが売り腰を一段と強めている大きな理由には、急激かつ大幅な鉄スクラップ価格の上昇が挙げられる。堅調な海外市況を背景に、先週9日の関東鉄源協同組合による鉄スクラップ輸出入札は平均3万1606円(H2、FAS)とメーカー買値を大幅に上回る高値で落札。東京製鉄宇都宮工場が10日から買値を2千円引き上げたこともあり、関東地区のメーカー実勢購入価格(H2)は3万1千円前後と、約4カ月ぶりの3万円台に切り上がった。

 直近のボトムである5月半ばからの上げ幅はトン7千~8千円に達している。

 下期からは電極や耐火レンガなど資材価格も大幅に値上がりする。コスト高の目白押しでメーカー各社は採算割れが必至の情勢にある。

 一方、海外市況の好調でビレットや鉄筋棒鋼の輸出メリットは強まっている。中国政府による「地条鋼」の全廃でアジアの半製品需給がタイト化。東南アジア向けのビレット輸出はCFR480~490ドルとされ、中国製のビレット輸出は同515ドル前後に高騰している。

 鉄筋棒鋼のアジア市況も上昇が続いている。中国・沙鋼が8日、韓国向けに提示した鉄筋棒鋼の輸出オファーはCFR565ドル(10ミリ)と前月比70ドル高に急伸した。こうした状況を受けて、関東地区の電炉小棒メーカーでも好調なビレット輸出への対応を強化している。

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