石川さゆりがポップス系アーティストとの共演や楽曲提供でコラボをする企画のシリーズ第3弾。
全9曲、レキシの池田貴史が『風の盆恋歌』のような狂おしいラブソングに挑んだ『くのいちもんめ』や、矢野顕子流のシンプルなメッセージが光る『ほめられた』など、石川が自ら築いてきた世界と共演者の間を自由に往来している。それゆえ、静寂と情熱の対比が見事な森友嵐士作のバラード『京恋唄』や、大江千里らとのジャズ・セッションによる『ワインを選んで』など、本企画らしい作品が並ぶ。
出色は、小渕健太郎による『春夏秋冬』か。コブクロらしく季節ごとの叙情的な風景を、時に穏やかに、時に可愛らしく歌い、ラストは森羅万象が宇宙に吸い込まれるかのごとくスペクタクルに絶唱する。石川の中でも超高難度の名曲が誕生した。
他にも、里花によるフォーク調の『ほんとうのこと』なども新鮮。異分野の人と交流する際、互いが日頃から鍛錬していれば、より楽しい機会になることを本作から学ぶはず。
(テイチク・2315円+税)=臼井孝