高炉の輸出比率、4~6月期は軒並み低下 設備改修で減産、価格も回復途上

 高炉大手3社の4~6月期の鋼材輸出比率(金額ベース)は、前年同期に比べ軒並み低下した。設備改修が集中したことで輸出成約を抑制し内需対応を優先したことや、海外鉄鋼市況が底入れしたものの価格面では回復途上だったことが反映された。

 為替は1ドル=111円程度で、前年とほぼ変わらなかった。ただ新日鉄住金・大分製鉄所やJFEスチール西日本製鉄所での改修工事のため主力の熱延コイル(普通鋼ベース)輸出は4~6月期で前年同期比14%減の288万トンへと減少。価格面では、ホット市況が5月から上昇したものの、商談で価格反転を反映させるには途上だった。

 一般的に、4~6月期は国内市場が不需要期で輸出比率が上昇しやすいが、設備改修に加え国内の自動車向けが好調を維持し、昨年からその季節要因が薄まっている。今年度は新日鉄住金が42%となり、4~6月期としては発足後の最低に。JFEスチールは42・1%で、同期としては2009年以来となる42%台にとどまった。神戸製鋼所は27・1%で、5四半期連続の30%割れだった。

 7~9月期は設備改修が終わることによる数量回復や、7月積み商談を底に輸出価格の値上げが進む見通し。JFEが45%程度へと上昇を見込む一方、新日鉄住金は一部設備の不調で41%程度と低迷が続くものと予想している。神鋼は26%程度、下期も同程度を見込んでいる。

 7月以降、海外市況は上昇基調が強まっており、日本高炉の10月積みホット輸出商談ではトン当たりCFR500ドル台後半のオファーがなされている。一部では成約価格も500ドル台半ばまで上昇しているものの、価格急騰に対する警戒感もあり、下期の輸出商談は現下の市況がどう定まるかで大きく左右しそうだ。

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