15日(火)に行われたスルガ銀行チャンピオンシップ。
JリーグYBCルヴァンカップの王者である浦和レッズと、コパ・スダメリカーナ王者であるシャペコエンセが埼玉スタジアムで激突した。
試合は、阿部勇樹が90+4分にPKを決め1-0で浦和が勝利。
PKの判定を巡ってはシャペコエンセ側の猛抗議もあり紛糾したのだが、試合後に見られたあるシーンが話題だ。
タイムアップのホイッスルが鳴った後、浦和のサポーターたちがこんな巨大フラッグを掲げていた。
ゴール裏の最前列に掲げられていたのは、"Vamos nos encontrar novamente nos campeonatos mundiiais!! Amigos!!!"というポルトガル語。
これは、「またクラブワールドカップで会おう!!友よ!!!」という意味のメッセージだ。
シャペコエンセといえば、昨年11月にチームを乗せた飛行機が不運な墜落事故に遭い、選手やスタッフら71名が死亡。サッカーチームを襲った事故としては史上最悪規模であり、世界中から支援の輪が広がっていた。
そんな悲劇から立ち直ろうとするシャペコエンセに対し、浦和のサポーターはタイトルの獲得が決まった直後ながら応援のメッセージを掲出。
横断幕が意味するものは、「今度は南米王者とアジア王者という立場でクラブワールドカップで会おう」という“約束”だ(シャペコエンセはすでに今季のコパ・リベルタドーレスで敗退)。
この横断幕を見たシャペコエンセの選手たちはすぐさま浦和のゴール裏に駆け寄り、中には着ていたユニフォームを投げ入れるプレーヤーもいた。
試合後、DFグローリは「日本の皆さんが今回我々を温かく受け入れてくれたことを感謝しています。滞在中はすべてのプログラムをしっかりとケアしてくれましたし、街もきれいで、このような国はなかなかないと思います」とコメント。
また、浦和サポーターが用意した横断幕について、「私たちはリベルタドーレス杯などで様々なオマージュを受けてきましたが、このような美しい表現はありませんでした。改めて、日本の皆様のおもてなしに感謝したいです」と感謝のメッセージを残している。
浦和レッズのサポーターは、その行動が問題視されることも少なくない。
過去には人種差別的なメッセージを掲げたことでJリーグ史上初となる無観客試合という裁定が下り、対戦チームのバスに爆竹を投げたこともあった。
しかしそうした過激派は一部であり、応援のボリュームや熱さだけを考えれば日本一のサポーターと言って差し支えないだろう。
この日フラッグを掲げる際、多くのサポーターたちがシャペコエンセへの連帯を示すため緑色のプラカードを掲げていた。
サポーターにとって応援するチームではないクラブカラーを身につけるのは相当に複雑であるはずだが、それでもそうしたプライドを一旦脇に置き、相手をサポートしようと決心したのだ。しかも、タイトルを獲得した直後にである。
この日の試合は平日開催ということで、1万1002人しか集まらなかった。埼玉スタジアムでの浦和戦としては少し寂しい動員だが、それでも浦和のファンが示した態度は世界に誇れるほど立派なものであった。