夏休み!インドア派の方は全国各地の防災館へ行ってみよう!(後編) 防災館は目的別に楽しめます!

歴史上の有名な人物がライフジャケット(笑)。さすが関西ノリ。誰だかわかります?答えは後ほど!(画像提供:あんどうりす)

今回は、前回からの続きですので、読んでない方はぜひ前編もお読みください。

■夏休み!インドア派の方は全国各地の防災館へ行ってみよう!(前編)
日本の防災館は海外の人にも大人気なのです!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3386

夏、過ごしやすい北海道に行かれるのであれば、新千歳空港から車で15分の千歳市防災学習交流センター『そなえーる』に是非足を伸ばしてみてください。

『そなえーる』の外観(出典:『そなえーる』ホームページより)

■千歳市防災学習交流センター『そなえーる』
https://www.city.chitose.lg.jp/docs/98-43059-192-1016.html

日本最大級の淡水魚水族館である「サケのふるさと千歳水族館」からも車で7分なので、水族館好きの私はセットで見てきました!

■サケのふるさと千歳水族館
http://chitose-aq.jp

車で行くとまず、駐車場の広さが北海道であることに感動します。広い!そして、災害時、テントを張ったり、様々な拠点になることを想定しています。2010年にできた新しい施設で、展示も充実しています。

地震体験コーナー(出典:『そなえーる』ホームページより)

8種類の再現地震があるのですが、その中に有珠山の噴火による火山性地震動があるのです。全国広しといえどもここだけ!地震のイメージがひとつだけだと簡単に次の地震が想定外になってしまいます。何一つ同じ地震がないことを体験していただければと思います。

煙避難体験コーナー(出典:『そなえーる』ホームページより)

また、煙体験施設がガラス張りなので、こどもが体験している様子を外から撮影もできるのが保護者的には嬉しいです♪これ、後からよい思い出になりますよね!

さて、ここの施設で個人的にもっとも楽しかったのは、これです!

避難器具体験施設コーナー。体育館の2階分の高度があります!(出典:『そなえーる』ホームページより)

ホテルやマンションには高層階から脱出するための避難具がありますよね。それを、体育館の2階部分という高度がちゃんとある場所で体感できるのです。クライマーなら絶対体験してみたかったものなので、もちろん体験してきました!

なかなか体験できないですよね♪(出典:『そなえーる』ホームページより)

脱出用シューターは途中で速度が落ちる滑り台ですが、ほんとに滑ったことがある方は少ないのではないでしょうか?。実用的大人の滑り台、おもしろいです!でも、なかなか体験できないので、こちらの施設はありがたいのです。

緩降機もご存知ですか?クライマーの私たちのハーネスは、ウエストと股部分に装着するのですが、緩降機だと脇に装着して降りるのですね。重心と体重をかける場所が一緒になるクライミングのハーネスの方が、ロープでビルでも崖でも降りやすいですが、一般の方の救助はいろいろな服装の方がいるので脇なのかな?

脇だと、楽ではないですが、脇が固定されると落下しないので合理性はあります。そのため昔ながらのおんぶは、脇でとまっています。名前のとおりにゆっくり降りるので、クライマーには物足りないですが(笑)、高いところがはじめての人には十分スリルがあるのではないかと思います。この高さで体験させてくれる施設はめったにないので、ぜひ、こちらも体験してみてください!

さて、次は防災館という分類ではないのですが、火山つながりで学んでいただきたい施設はこちら。

縄文時代の火山の痕跡は圧巻!島根県の『サメヒル』

■島根県立三瓶自然館『サヒメル』
http://www.nature-sanbe.jp/sahimel/

風光明媚な場所にある自然館近くには「初心者ウェルカム」(HPより)な電源もあるキャンプ場もあり、さらに、地産地消の三瓶バーガーが隣にあるじっくり楽しめる場所なのです。

北の原キャンプ場ホームーページのスクリーンショット。キャンプを4つのスタイルから選べる。

■北の原キャンプ場
http://www.nature-sanbe.jp/camp/

三瓶バーガー http://www.sanbe-bg.com(画像提供:あんどうりす)

ここでぜひみていただきたいのが、三瓶小豆原埋没林です。

大迫力の三瓶小豆原埋没林!(画像提供:あんどうりす)

三瓶山は10万年前から活動している火山ですが、地学的には若い火山だとか。この三瓶山が、4000年前にプリニー式噴火というポンペイを飲み込んだベスビオ火山と同じ噴火をした際、地形などの偶然が重なり、縄文時代の森がそのまま埋没林となりました。

まるで縄文の原始の森のポンペイ状態です。12mもある巨木がそのまま残存しているのは世界でもここだけです。縄文の森はスギの巨木だったのですね。縄文文化に影響を与えた火山噴火や太古の日本の姿を感じられる場所なので、出雲に行くならここにも是非とおすすめしたい場所です。

(画像提供:あんどうりす)

さて、次はこちら。

『稲むらの火の館』では巨大津波シミュレーション!

小学校5年生以上のお子さんをお持ちで、5年生の時の教科書が光村図書出版だったなら、教科書にも掲載されている和歌山県有田郡広川町にある『稲むらの火の館』がおすすめです!

稲むらの火の館 街並みと同質性のある防災館っぽくない趣のある日本家屋で、庭園もあります。(画像提供:あんどうりす)

■『稲むらの火の館』
http://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/

現在の教科書には、「百年後のふるさとを守る」というタイトルで、前回紹介した阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター長などを務められている京都大学名誉教授の河田惠昭先生が書かれた文章が掲載されています。

尋常小学校時代にも、小泉八雲氏が書いた「稲むらの火」という文章が教科書に載っていたそうです。

ヤマサ醤油7代目当主の浜口梧陵さんが広村(現・広川町)に帰省していた際、安政東海地震と安政南海地震が発生しました。夜間の避難の目印になるようにと、梧陵さんが稲に火をともし、村人の避難を誘導したというお話です。稲むらの火の館のこちらに詳しいです。

■資料室 【稲むらの火】~安政地震津波の顛末~
http://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/siryo_inamura.html

こちらの施設での圧巻は、津波シミュレーションです。この大きさ、写真でわかっていただけますでしょうか?ミニサイズは科学館などでも見たことがありますが、さすが津波伝承の施設だけある規模です。なんと長さは16mだそうです。

この大きさ、写真で分かってもらえるでしょうか?(画像提供:あんどうりす)

水槽のボタンをおすと、人口の波が発生するのですが、高潮と違って津波は波の発生当初から高さがあり、塊として押し寄せてくるということがよくわかります。

Youtubeに動画も上がっていましたので、よろしければこちらもご覧ください。

津波シミュレーション 稲村の火の館(出典:Youtube)

もうひとつ、たまらなく私のツボだったのが、これ。いいわあ。この関西のノリ。

なんと、かの濱口梧陵さんがライフジャケット着けてる!さすが関西!(画像提供:あんどうりす)

特別展示されていた期間なのかなと思いますが、津波防災の歴史上の人物で、教科書にまで出てくる、かの濱口梧陵さんが、ライフジャケットつけてるーーー!!!!そしてよく似合ってる(笑)やはり、関西、おもしろいです。

さて、稲むらの火の館から車で5分前後には、湯浅醤油で有名な場所です。ここはセットで行っていただくのが断然おすすめ。予約をすれば、醤油つくり体験ができます。

髪の毛が落ちないように装備してから櫂の重さを体感します(画像提供:あんどうりす)

お醤油やポン酢、金山寺味噌、この醤油ソフトクリームも販売されてます。醤油ソフトって、キャラメル味になるんですね♪醤油麹が甘みと深みを出すからでしょうか。お気に入りです!

(画像提供:あんどうりす)

さて、次は東京都。東京消防庁が管轄する防災館です。行ったことあるという方も近所の防災館体験だけで終わっていないですか?

実は東京消防庁の防災館、3カ所それぞれ特色があり、違うのです!ここは行ったけど、ここはまだだったという所があれば、まだ防災館に行ったことあるとは言えないのです。

東京の防災館は目的に合わせて楽しめる!3カ所ぜんぶ回ってみよう!

まず、立川防災館。

■立川都民防災教育センター『立川防災館』
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-ttbskan/

こちらは最もお子様むけ展示が充実していることをご存知でしたでしょうか?イベントもわくわくコンサートやナイトツアーなど、お子様を対象にしているものが多いのです。
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-ttbskan/tachi-even.htm

エントランスはいってすぐに、アスレチック遊具のような設備があります。

姿勢を低くして避難することを学べるアスレチック

これは、火災での低い姿勢での避難が遊具での遊びを通じて体験できる施設です。防災館の説明的な部分は、小学生や年長さんになってからという事になりがちですが、立川でしたら幼児でも室内アスレチック好きだったら楽しめます。この場所から離れないお子さんもいるとか!アスレチックで避難訓練が学べるというコンセプトが素敵です。

隣は、「ぼうさい!DO!タウン」という、昨年リニューアルされた場所になっています。アスレチックと同じく幼児が楽しめる工夫があります。

昨年リニューアルした「ぼうさい!DO!タウン」

「まちをまもる!こども消防隊コーナー」では、自分の顔が画面上に取り込まれ、消防隊員や消防本部の服装になって映像化されます。実際の通報を生かしたリアルな現場を楽しい自分の写真映像で再現してくれるので、親子で見入ってしまいます。

自分の画像が取り込まれて・・・

なんと自分の分身が救急現場に駆け付けてます!

その他、ARを利用した消火体験コーナーやこどもの事故で多い、誤飲ややけどなどの危険をボードで解説した展示など、ちいさいお子さんがいる保護者の方の日常に役立つ情報も展示されています。

ARで消火活動を体験できる

また、東京消防庁の防災館では、消化器体験が映像で体験でき、どの場所に放水すれば効果的か、あえて、直接放水するより、壁にあてたほうがいいなど、体験できます。

火を消せたという達成感は格別なので、消火器的あてを体験したことある方も、これは体験していただきたいです。

また、学校や職場にあるけど、触った事ないという消火栓についても体験できます。

さまざまな消火栓について説明してもらえます

次に池袋防災館。

■池袋都民防災教育センター『池袋防災館』
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-ikbskan/

こちらは駅から5分の好立地を生かして社員研修が盛んな場所なのです。だから、広い会議室や図上訓練コーナーがあります。そして、倒壊したブロック塀からの救出訓練もできます。企業研修にぴったりな場所なのです♪

倒れたブロック塀からの救出訓練。こうならないように、古いブロック塀は早く撤去してほしいですね・・(画像提供:池袋防災館)

次は本所防災館。

■本所都民防災教育センター『本所防災館』
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hjbskan/

ここは水害対策が充実しています。風速30mの暴風雨を、レインウエアを着用して耐える体験ができます。風速30mは飛んで行った傘が窓ガラスを割ることができるほどの速度です。風速という言葉だけでは実感できないことを体感できます。

暴風雨体験コーナー。風速30mって、想像できない!(画像提供:本所防災館)

都市型水害体験コーナー。地下に浸水して、水圧のかかったドアを体感しているところ。まさに都市ならでは!(画像提供:本所防災館)

液状化の実験装置もあり、水害といえば、本所がおすすめです。という具合に東京消防庁の防災館はすべてを体験してこそ、「行った事がある」といえる場所になっています♪

いろいろある防災館、夏休み中に、どこか行ってみたいなと思っていただければ嬉しいです。全国に楽しい防災館がたくさんあるので、今回紹介しきれなかった所はまたいつか紹介しますね♪みなさんのここがよかったよレポートもお待ちしています!

(了)

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