鉄スクラップ電炉買値、関東1000円続伸=東鉄に追随 発生低調で需給タイト感も

 関東地区電炉メーカーの鉄スクラップ価格が1千円続伸した。東京製鉄宇都宮工場が18日から1千円の買値引き上げを実施。その他メーカーも500~1千円の値上げに動いた。18日時点でメーカー実勢購入価格(H2)は3万1千~2千円どころ。夏場で市中発生が低調なほか、堅調な船積みと電炉メーカーの在庫確保で地区需給は引き締まっている。輸出の先高観も根強く、目先は上げ基調との見方が有力となっている。

 18日時点での湾岸価格(H2)は3万1千~3万1500円で高値寄り。韓国・現代製鉄は18日、日本産スクラップに対するビッドをH2=FOB3万2500円と前回比1500円引き上げたが、市中では「上げ幅が中途半端。大量の成約は難しい」(ヤード業者)との声が聞かれた。

 中国での地条鋼の全廃を背景にアジアで半製品ビレットや鉄筋棒鋼の市況が上昇。鉄鉱石や原料炭のスポット価格上昇もあって、日本の鉄スクラップに対する引き合いは強まっている。国内では高炉メーカーが市中購入の意欲を強めている模様だ。

 一方、電炉メーカーは堅調なビレット輸出にも対応し、電気料金が割安なお盆期間にはほぼフル操業を行った。各社ともお盆明けのスクラップ在庫は低水準となっており、目先は在庫確保に努める構え。

 当初、先週18日からの予定だった関東鉄源協同組合による5千トンの船積みは、26~30日にズレ込んだ。ただ、今週の関東湾岸の船積みは、高水準が見込まれており、地区需給は一段とタイト化しそう。

関西地区も1000円上伸、2年10カ月ぶり3万円

 関西地区電炉メーカーの鉄スクラップ買値が18日、トン1千円上伸してH2=3万円となった。3万円相場は2014年10月中旬以来約2年10カ月ぶり。

 盆休み明けで需給が緩むと見られていた関西市場だったが、東京製鉄が同日、岡山工場など全工場で買値を1千円上げたことで、大阪・姫路など関西電炉のほとんどが1千円上げた。

 買い建値は2万9千~9500円だが、入荷促進策での建値プラス500~1千円のスポット買い(裏値)が続いており、3万円台での買いが広がっている。

 メーカーへの入荷状況は、買値引き上げ前の17日はやや細ったが、18日は増えている。メーカー在庫は、盆休み明け直後のため夏季定期修理休業に入るメーカーを除いて「通常よりやや少なめ」とする向きが多い。

 ただ目先の動向については「3万円大台乗せで、先行きは様子見状態になる」との見方が多い。アジア市況も総じて強含みだが、一部には「(アジア市況は)上伸一段落で踊り場状態」と見る向きもあり、週明けの関西スクラップ市況は様子見展開になりそうだ。

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