LMEニッケル価格、8カ月ぶり5.1ドル台に急伸 需給バランス改善傾向

 LME(ロンドン金属取引所)ニッケル価格は現地21日、4営業日連続で続伸し、16年12月以来およそ8カ月ぶりにポンド当たり5・1ドル台まで上昇した。ニッケル価格の低迷を受け、インドネシアにおける含ニッケル銑鉄(NPI)の増産ペースに歯止めが掛かりつつあることに加え、中国のステンレス鋼需要が堅調に推移していることなどから需給バランスが改善に向かうとの見方が強まり、押し上げ材料となっているもよう。

 現地21日のLMEニッケル価格は、前場終値(セツルメント価格)で現物価格がポンド当たり5・10ドル(トン当たり1万1250ドル)、3カ月先物価格が同5・08ドル(同1万1220ドル)。

 現物価格は前日比4・8%高と急伸。7月上旬につけた直近安値の同3・95ドルから1カ月半で約3割上昇し、年初来高値を更新した。

 ニッケル価格は、インドネシアにおける未加工鉱石の輸出再開とNPI増産、中国の需要減速懸念、フィリピンの鉱山における環境規制が緩和されるとの見方なども加わり、4月以降は下落基調となった。

 だが、夏場に入り、価格低迷でインドネシアの複数の製錬所が操業停止を発表するなど同国のニッケル増産ベースが鈍化するとの見方が広がったことに加え、4~6月期に落ち込みをみせていた中国のステンレス鋼需要が回復。

 さらに、鉱山の環境規制強化の影響などでフィリピンの1~6月期の鉱石輸出量が前年比約20%減となり、引き続き同規制が有効となっていることなどからニッケル需給バランスは供給不足が続くとの見方が強まり、価格を大きく押し上げている。

 今後については、価格低迷がさらに長引けば採算の厳しい製錬所で新たに操業停止や減産の動きが出てくる可能性がある一方、足元のLME在庫が引き続き高水準で推移していることから本格的な回復に向かうにはもう少し時間がかかるとの見方もある。

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