鋼管杭メーカーの本陣、太陽光基礎で工法改善で梁構造に角パイプ採用 強度確保へ構造設計変更

 鋼管杭メーカーの本陣(社長・梅岡美喜男氏)は、大規模太陽光発電用の架台・基礎システムの受注拡大、コスト競争力強化を目的に、梁構造部材をH形鋼から角形鋼管に変更した。強度を確保するため、専用のサポートを開発。メートル当たりの単重を大幅に減らした。同社では、引き続き大型の太陽光案件が出ていることから、こうした改善により競争力を高め、受注機会の拡大につなげる。

 同社は1980年に設立。造園業をベースに発展し、JFEスチールの鋼管を使った「SMD」工法(国土交通省認定)を、民間・官公庁案件の基礎杭として製造・販売。「DM」工法も堅調。また、太陽光発電用の架台・基礎システムの受注・販売(メガソーラー事業)も大型案件を中心に受注・施工している。

 さらに昨年度から不動産業者と提携し、マンション建設工事を受注・施工。工事そのもののほか、造園業で蓄積した石材の活用などでも顧客から評価が得られた。現在、拡大を図っている。

 メガソーラー事業は、鋼管杭メーカーとしての知見を生かした独自の架台・基礎システムに定評があり、基礎工法に回転鋼管杭を使用。基礎に構造物本体を直接接合する独自の「スマート基礎」を用いて工期短縮によるトータルコスト低減を図っている。

 また、自社でも太陽光発電による売電事業を開始。三重県多気郡の約2万7千平方メートル(8千坪)の敷地で、出力1・1メガワットの太陽光発電システムを運用しており、中部電力に売電している。

 足元ではソーラーブームが一段落した感も強いが、同社への見積り依頼は継続しており、1案件で10~20メガワットという大型のものは依然目立っているという。

 一方で業者間の受注競争も激しくなっており、鋼材価格も上昇し続けていることから、工法の工夫などによるコスト低減ニーズも高まっている。

 同社では太陽光パネルという重量物を搭載する基礎システムの梁構造部材として、150×75のH形鋼を使っているが、さらに軽量化できる角形鋼管への部材変更を検討。125×75の角形鋼管を使って同等の強度を確保できる工法を実用化した。

 具体的には、角パイプの75ミリ側両面の8メートルごとに、穴あけしてパイプ内に17ミリ径の丸パイプを配置。そこをボルト締めして構造体とすることで、梁部材の変形が生じないようにした。 

 これにより、メートル辺りの単重を下げて見積もり金額を抑制し、受注拡大につなげる。

 梅岡社長は「工法の合理化により、お客様への資金的な負担を少しでも軽減し、従来より優れた基礎システムを提案していきたい」と話している。

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