富士鉄鋼センター、荷役作業中の転落防止 安全台や柵、マットを配置

 「鋼材の流通倉庫や加工工場におけるトラックやトレーラーでの荷役作業中の作業者の、万一の転落・墜落・落下事故を未然に防ぐために」―新日鉄住金系の建材型厚板シャー大手、富士鉄鋼センター(千葉県君津市、社長・大住昌弘氏)では、製品出荷口に「転落防止装置」を備えた。

 切板加工製品を搬入(積み込み)する側には、トラックの荷台に沿う格好で「スライド式安全作業台」(大和電機工業製)を設置。その反対側には、移動式の転落防止用安全柵を配置した。後方には大型のマットを敷き、万一の後方転落の際でも危険を最小限に抑える態勢にしてある。

 トラックがピットに入ると、まずスライド式安全作業台からハンドル操作で足場を出し、トラックの荷台と作業台との隙間を埋める。反対側の荷台には、移動式安全柵を横付けする。柵にはネットが張っており、万一、身体が柵を乗り越えても地面への転落を防ぐ。後方にもマットがあるので作業者にとっては気持ちの面でも安心感と安全度が増す。

 トラックの狭い荷台での荷役作業は柵や手すりがなく足場スペースも限られるので危険と隣り合わせ。特に大型・長尺の重量物である鋼材だとなおさらだ。実際に作業中に人が転落し重大災害を招く事例もある。

 富士鉄鋼センターでは火や油を扱う溶断加工現場での作業安全性を考慮し、作業服も化繊から綿100%製に切り替えている。

JFE鋼材も転落防止策

 トラックでの荷役作業中の転落防止対策については、JFE鋼材(本社・東京都中央区八丁堀、社長・石原慶明氏)でも厚板溶断工場やトラックフレーム用コイル加工工場で安全柵や足場用の通路を備えている。

 安全へのさまざまな取り組みの「輪」が業界で広がりつつある。

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