米国系の北朝鮮軍将校、亡き父の思い出を語る

1962年に米軍を脱走、北朝鮮に亡命した米国人のジェームズ・ドレスノク氏が、今年4月に死去したことはデイリーNKジャパンでも報じたが、彼の2人の息子が北朝鮮のプロパガンダサイトに登場し、生前のドレスノク氏について語った。

北朝鮮の対外向けプロパガンダサイト、わが民族同士は18日、「米国系朝鮮人民軍軍官との特別対談」というタイトルの動画を公開した。

これは、親北朝鮮的な在米韓国人が運営するニュースサイト・民族通信のノ・ギルナム代表が、ドレスノク氏の長男のテッド・ドレスノク(朝鮮名ホン・スンチョル)氏と次男のジェームズ・ジュニア・ドレスノク(朝鮮名ホン・チョル)にインタビューしたものだ。

その中で次男のジェームズ氏は、2016年11月3日に父(ジェームズ・ドレスノク氏)の病状について報告を受けた金正恩党委員長が、特別に総合病院で集中治療を受けるよう配慮してくれたが、父は治療中に脳卒中で死去したと明らかにした。暗鬱な表情で父の死について語りつつも「共和国の懐に抱かれ、幸せな一生だったろう」と述べた。

父について流暢な朝鮮語で語った2人は現在、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に上尉として勤務している。また、それぞれ朝鮮人女性と結婚し子どもをもうけている。

米バージニア州出身のドレスノク氏は、在韓米軍に配属されていた1962年8月15日、軍事境界線を越えて北朝鮮に亡命した。長期間に渡る思想教育を受けた後、ルーマニア人拉致被害者のドイナ・ブンベア氏と結婚した。

同時期に北朝鮮に亡命したチャールズ・ジェンキンス氏は現在日本に住み、他の2人は既に病死しているため、ジェームズ・ドレスノク氏は「最後の脱走兵」と呼ばれていた。映画や海外メディアに登場したり、2009年9月にTwitterのアカウント(外部リンク)を開設したりと、北朝鮮のプロパガンダに貢献してきた。

現地を訪れた観光客によると、2年前には重病で面会できないほどとなっていたが、今回、公式メディアを通じてあらためて死去が確認された形だ。

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